2024年3月に首都圏での新築分譲マンション市場の動向に関する報告が発表されました。

首都圏 新築分譲マンション市場動向 2024 年 3 月

私たちは東京23区を中心に活動している不動産の賃貸管理会社であるため、東京23区に不動産屋さんならではの視点から読み取れることをお伝えします。

どのような情報なのか?

名前のままなのですが、2024年3月に首都圏での新築分譲マンション市場の動向に関する報告書です。

全体的には以下のような分析となっております。

◎発売は 0.5%増の 2,451 戸とほぼ横ばい。東京 23 区は 48.2%減と半減。
◎平均価格 7,623 万円、㎡単価 113.5 万円。ともに反動で大幅に下落。
◎初月契約率は 72.1%。東京 23 区、神奈川県、千葉県が 7 割台乗せ。

首都圏 新築分譲マンション市場動向 2024 年 3 月

が、これだけではなんともピンと来ないのでグラフ部分に絞ってお伝えします。

地域供給戸数契約率平均価格㎡単価
首都圏2,451戸 (△ 0.5%)72.1% (△ 7.4P)7,623万円 (△ 46.9%)113.5万円 (△ 43.2%)
東京 23 区687戸 (△ 48.2%)78.2% (△ 6.3P)12,476万円 (△ 42.6%)192.2万円 (△ 32.3%)
表から読み取れること

発売戸数

東京23区での新築分譲マンションの発売戸数は687戸です。これは前月と比較して半分ほどだったということがわかります。

初月契約率

契約率は78.2%で、前の期間と比べて6.3ポイント減少していますが、賃貸ほど大きくはないものの繁忙期の影響を受けてのものと考えることができます。

平均価格

平均価格は12,476万円で、これは前の期間と比べて42.6%の減少を示しており、ここを取り上げる報道が多いです。麻布台ヒルズを中心とした高額物件の反動であると考えることができます。

平均㎡単価

平均㎡単価は192.2万円で、前の期間と比べて32.3%の減少を示しています。高額物件の反動で平均価格が下がった影響を受けてのものと捉えることはできますが、㎡単価にも大きな影響を与えており、あらためて麻布台ヒルズが引っ張っていた数字は大きかったなと感じました。

価格、平米単価は前年比についての数字も欲しいというのが正直なところです。

間取りの構成は?

東京都の23区内で新規に発売されたマンションの間取り別の割合を見てみます。

タイプ発売
ワンルーム5
1K1
1DK5
1LDK92
2LDK225
3LDK339
4LDK21
合計687
間取り図ごとの販売戸数
2024年3月のマンション販売数の間取りごとの戸数分布グラフ
1R1K
1DK1LDK
2LDK
3LDK
4LDK

ワンルーム1Kの圧倒的な少なさにまず驚くことでしょう。

ワンルーム規制の影響?

東京都23区ではワンルームに対しての規制があります。なぜ規制があるのか?と言われるといろいろな事が言われていますが、街を作るためには、ひとり暮らしが多いと荒れがちになってしまうというのと、住民票を実家に残したままで住んでいるのに住民税が払われないなどといった理由がしっくり入ってくるかなと思われます。

23区でそれぞれ現在どのような規制になっているのかをまとめました。

不動産業に従事している方であれば「ワンルームの定義」にツッコミを入れたくなることかと思います。決して入力ミスではありません。

まったくの余談ですが、ワンルーム規制があり、今後増えないからこそ「ワンルーム投資だ!」という世界もあったりします。

最低面積ワンルームの定義
千代田区25㎡以上(H22.8まで22㎡)30㎡未満
中央区25㎡以上40㎡未満
港区25㎡以上37㎡未満(H16以前は 30㎡以下)
新宿区25㎡以上30㎡未満
文京区25㎡以上40㎡未満
台東区25㎡以上40㎡未満(H19以前は 39㎡未満)(H16以前は 29㎡未満)
墨田区25㎡以上(H19以前は20㎡未満)40㎡未満(H19以前は 29㎡未満)
江東区25㎡以上40㎡未満
品川区25㎡以上(その他20㎡以上)30㎡未満
目黒区25㎡以上40㎡未満
大田区25㎡以上40㎡以下
世田谷区25㎡以上40㎡未満
渋谷区28㎡以上33㎡未満(H23以前は 29㎡未満)
中野区25㎡以上40㎡未満
杉並区25㎡以上40㎡未満
豊島区25㎡以上(H26以前は20㎡未満)30㎡未満
北区25㎡以上40㎡未満
荒川区25㎡以上なし
板橋区25㎡以上35㎡未満(21年度~)
練馬区25㎡以上30㎡未満
足立区25㎡以上40㎡未満
葛飾区25㎡以上30㎡未満
江戸川区25㎡以上30㎡未満
23区における集合住宅条例等の比較

4LDKの少なさ

1R、1Kに続いて少なさが目立つのが4LDKでした。各建築会社も利益を最大化しなければならないという現実があるので致し方ないですが、4LDK以上の物件の少なさに嘆いている子育て世帯の皆さんの声に少し耳を傾けて計画してくれればなあ。。。と感じてしまいました。

まとめ

首都圏新築分譲マンション市場の2024年3月動向を不動産賃貸管理会社の視点から分析し、東京23区の動きを詳しく見てみました。

発売戸数は前月比48.2%減の687戸で、市場は半減しました。初月契約率は78.2%で、6.3ポイントの微減ですが、季節の影響もあることでしょう。

特に注目すべきは平均価格12,476万円、平均㎡単価192.2万円と、いずれも前期比で大幅な下落を記録したという点です。これは前月までの反動が出たためであろうと考えています。

間取りの構成ではワンルームや1Kが極めて少なく、4LDKも21戸と少ない状況でした。

23区それぞれに施されているワンルーム規制は、多様な理由に基づき、街づくりに深く関わっています。この分析は、不動産市場の流れを理解し、今後の住宅選びに役立つ重要な指標を提供しています。

賃料設定の際の参考情報としてでもご活用ください。