日本銀行がついにマイナス金利政策の終了を発表しました。

金融政策の枠組みの見直しについて 2024年3月19日

これは、長年にわたる特別な金融支援措置が一つの節目を迎えることを意味します。

多くの人々、家を買う計画をしている人、すでに住宅ローンを組んでいる人や不動産投資など借り入れなしでは語ることのできないビジネスをしている方々にとって、このニュースは大きな関心事です。

マイナス金利が終わると、これからの住宅ローンの利率や、不動産市場全体にどんな影響があるのか、簡単にわかりやすく解説します。この変化があなたの家の購入計画や投資戦略にどう影響するのか、一緒に見ていきましょう。

マイナス金利政策とは?

2024年3月19日の発表ではずっと言われていたマイナス金利政策の終了を決定しました。

「マイナス金利ってなんだ?」ということを知らないとこの先の説明が伝わらないかなとまずはマイナス金利がどういったものかを、難しい言葉を使わずにざっくり説明してみます。

突然ですが、あなたは今どこかしらの銀行にお金を預けていますよね?その銀行はごくわずかとはいえ、預けていれば金利がついて、お金が増えていくという前提で銀行にお金を預けているかと思います。

マイナス金利というのは、「お金を預けているとお金が減っていく」という状態でした。

普段目にしている銀行たちは、日本銀行という銀行に一定のお金を預けなければならないというルールがあります。

その、銀行が日本銀行に預けているお金にかかる金利がマイナスだったという状態です。

なぜ、このような状態になるかというと。。。もしもあなたが「銀行にお金を預けていてお金が減っていく」という状態だったら、その銀行にお金を預けていくという事は辞める人が大半ではないでしょうか?

銀行はお金を外に出さないとお金がどんどん減っていく一方なので、お金をどんどん貸し出そうとしていました。「金利を安くするからお金を借りてくれ」という状態でした。

だから、ここ数十年の住宅ローンはとてつもない低い金利だったというわけです。

その状態が終了することが宣言されたというものです。

普通預金の利息が20倍に!

マイナス金利を解除の報道を聞いて早速利息を20倍にすると宣言したメガバンクがあります。

三菱UFJ銀と三井住友銀、普通預金金利20倍に引き上げ

おぉすごい!!と拍手を送りたくなってしまいそうですが。。。冷静に計算してみましょう。

普通預金の現在の金利は0.001%です。”0″の数を間違えていません。何度も確認しました。それが20倍になるだけなので、0.02%になるというわけです。

0.001%の金利で10年間預けた場合の利息は、100円です。

0.02%の金利で10年間預けた場合の利息は、2000円です。

いずれのケースも利息額は依然として小さく、長期間の預金であっても大きな利益を期待するのは難しい状況です。20倍という言葉のインパクトに引っ張られてしまいそうですが、このレベルの金利では、限定的な影響、効果しかないであろうなとは感じています。。

なお三菱UFJ銀行は定期預金についても下記のとおりの発表をしています。

定期預金の金利も引き上げる。期間3年は0.002%から0.15%に、10年は0.2%から0.3%になる。

株式会社三菱 UFJ 銀行

利上げによるメリット・デメリット

利上げによるメリット・デメリットをざっくりと書き出してみました。

メリットデメリット
物価の安定株価が下落傾向になる
為替に影響を与え、円安に歯止めがかかる可能性資金調達のコストが増大し、企業の新規借り入れや設備投資が抑制される
貯蓄促進消費が抑制され、商品の需要鈍化により物価が下落
バブル経済の防止住宅ローンの利息の支払いが増える可能性がある(特に変動金利型を利用している場合)
利上げのメリット・デメリット

「円安に歯止めがかかる」はこの程度の発表では変わらずという状態にはなっていますね。

住宅ローンに及ぼす影響

不動産関係の報道では、どの報道を見ても「住宅ローンの金利があがるかもしれない」という恐怖を煽る系の記事ばかりになっているなという印象を抱いています。

それは多少はあがるかもしれないのですが、個人的にはそんなに家計を圧迫するほどの上昇にはならないであろうと捉えています。また、住宅ローンについて、変動金利であってもある程度安心できる2つのルールがあります。”5年ルール”と”125%ルール”と呼ばれているものです。

5年ルール

変動金利の住宅ローンを選択した場合、通常、半年ごとに金利が見直されます。しかし、金利が上昇しても、”5年ルール”のおかげで、最初の5年間は毎月の返済額は一切増加しません。これにより、金利上昇の直後に家計に急な負担がかかることがなくなります。5年間の準備期間があるという状態になります。

125%ルール

5年経過後、6年目からは、毎月の返済額が上昇する可能性がありますが、”125%ルール”により、返済額は元の額の最大125%までしか増加しません。たとえば、毎月10万円の返済であれば、最大でも12.5万円までとなり、大幅な増加を避けられるというルールです。

とはいえ、この125ルールが発動するのは、とてつもない金利の上昇幅になるので、よほどの事がない限り発動されることはないであろうとは言われています。

5年ルールと125ルールの具体事例
  1. 借入時点:毎月の返済額は10万円とします。
  2. 1年後:市場の金利が上昇しましたが、5年ルールにより、毎月の返済額は変わらず10万円のままです。
  3. 5年後:この間、金利がさらに上昇しても、あなたの返済額は依然として10万円のままです。5年ルールが適用されるため、この期間中に返済額の増加はありません。
  4. 6年目に入ると:5年ルールの保護期間が終了し、もし金利が上昇している場合、返済額が増加する可能性があります。しかし、125%ルールにより、返済額は元の額(10万円)の125%、つまり12.5万円までしか増加しません。これにより、返済額の急激な増加を防ぐことができます。

5年ルール、125%ルールの注意点

5年ルールや125%ルールは返済額の増加を一時的に抑制するものであり、結局のところ金利上昇による未返済分は契約の終盤にまとまって返済する必要があります。

ただの支払いの先延ばしであるという見方をすることもできます。

そのため、長期的な視点で返済計画を考え、金利動向に注意を払う必要があります。

5年ルールと125%ルールは金融機関によって異なるので契約内容はよく確認しておきましょう。

毎月の返済額はどれくらい変わるのか?

現時点でau銀行の住宅ローンの金利が0.2%台だったりします。この金利が上昇すると毎月の支払いがどのように変わるのかという比較を見てましょう。

5000万円を35年ローンで組んだ場合、金利が0.3%、0.5%、1%、2%の場合の比較表です。

ローン元金年利期間(月数)毎月の返済額支払利息支払総額
¥50,000,0000.30%35¥1,435,009¥225,319¥50,225,319
¥50,000,0000.50%35¥1,439,311¥375,885¥50,375,885
¥50,000,0001.00%35¥1,450,101¥753,540¥50,753,540
¥50,000,0002.00%35¥1,471,833¥1,514,154¥51,514,154
住宅ローンの金利による支払額の比較
毎月の返済額の比較グラフ
0.3%
¥1435009
0.5%
¥1439311
1%
¥1450101
2%
¥1471833

まあ、2%まで行く可能性は限りなく低いであろうというのが大半の声です。そこは日本銀行さんの舵取りを信じるしかないですね。

不動産投資ローンにも影響

住宅ローンのみならず、不動産投資の際に借り入れるアパートローン、不動産投資ローンの金利にももちろん影響を与えます。

企業について対しての影響は下記のような報道があったりします。

借入金利「1%上昇」で企業の7%が「赤字」に利息は年270万円増、経常利益は9%圧縮 

借入金利が2%まで上昇する局面を想定した場合は、利息負担は平均で545万円の増加、経常利益は平均で18.2%減少、赤字へと転落する企業は全体の1割を超える計算となった。

借入金利「1%上昇」で企業の7%が「赤字」に利息は年270万円増、経常利益は9%圧縮 

利上げは報道である通り2007年以来の17年ぶりです。

金利上昇の環境下で成功している情報発信を行っている不動産投資家や企業の近年の事例がなく、どのような対策を講じるのがよいのかの答えを持っている人はいないでしょう。

常に柔軟な対応策を持つことが重要になります。

まとめ

金利の変動は、家を所有し、賃貸に出すことを検討している方々にとって大きな決断点です。マイナス金利政策の終了は、住宅ローンの利率だけでなく、不動産投資ローンにも影響を与え、あなたの財産運用に新たな展開をもたらす可能性があります。

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