よくある質問
Q
海外転勤になったから部屋を貸し出したい。日本に住民票を残しておくと税金はどうなるのか?住民票を日本に残しておくことはできるのか?
A

部屋を貸し出すということは、不動産の賃料収入があるので確定申告をする必要があります。その確定申告をした金額をもとに支払う税金がそれぞれ決まります。日本に住所があるようであればその収入をもとに住民税が決まります。

住民票を日本に残す事

海外転勤が決まっても日本に住民票を残しておきたいという声はよく聞きます。

海外に居住するのが1年以上であるという場合は転出届をしなければならないというのが原則です。

住民基本台帳法第52条第2項

正当な理由がなくて第二十二条から第二十四条まで、第二十五条又は第三十条の四十六から第三十条の四十八までの規定による届出をしない者は、五万円以下の過料に処する。

住民基本台帳法 23条が転居届についてです。

こういった”過料”の規定はありますが、1年に1回は帰国していれば、居住をしているとみてくれる実績はあります。が、そのすべてが自分自身で会社をやっていたり、個人事業主であったりするので、海外転勤でどのようになるのかは、雇われている会社次第になってしまうのではないかなというのが強いです。

“海外駐在”と”現地採用”の違い

少し本筋から外れてしまうのですが、”海外転勤”という言葉を使われているので、おそらく”海外駐在”の形であるかと思われますが、海外に行くと言っても様々な種類があるのでしっかり整理をしておきます。

“海外駐在”というのは、日本法人に雇用され、その会社の命令で海外拠点に赴任することを言います。

“現地採用”というのは名前のごとく、例えばインドに行ってインドの会社から直接雇用されるという形です。

“海外駐在”と”現地採用”の場合では、日本に住民票を置いたままである場合の支払うべきものが変わって来ます。

海外駐在であれば、年金や保険などは社会保障の協定制度のある国であれば会社にすべて任せていればよいものになります。

一方現地採用の場合で、日本国内に住民票を残しておくと(それで現地のビザが取れるのかどうかなどはわかりませんが)、住民税はもちろんとして、国民年金や国民健康保険などの支払いも継続しなくてはならなくなってしまいます。

海外赴任を前提として説明を続けます。

海外赴任1年目の住民税はややこしい

不動産収入があって海外に赴任した最初の年の確定申告は少しややこしくなります。

所得税は”前払い”的なものであるのに対して、住民税は”あと払い”的なものになるためです。

住民税の金額決まり方

住民税の”あと払い”について補足します。

住民税はその年の1月1日時点の居住している場所に支払います。その前年の所得に対して課税されます。支払うのは6月から翌年5月とパッと聞いってわからない感じのものになります。

例えば、2024年1月1日に東京都江東区に住んでいたとします。2024年4月に海外赴任が決まったとします。

2024年1月1日時点日本にいた時点で、もう6月から翌5月までに住民税は支払う必要があります。

これはもう住民票を日本から抜く抜かないに限らず支払うことが確定しているものになります。

1月1日日本にいなければ住民税支払い不要

話を進めて、2025年1月1日時点で日本に住民票がなかったらどのようになるのかについてお伝えします。

その年の1月1日時点に日本に住民票がなければその年の住民税を支払わなくてよいという形になります。

それで問題になったのが、かつて小泉政権時代の竹中平蔵氏です。

簡単に伝えると、「あれ?竹中さん年末年始毎回日本から住民票抜いていない?」というものでした。

住民税脱税犯における偽計行為

結局竹中平蔵氏は裁判で勝訴を勝ち取っていますし、ご自身の口からも事実と違う旨の説明しっかりなされています。

私はその当時、春学期に日本で教え、秋学期はアメリカで教えていました。アメリカと日本を行ったり来たりしていて、1月1日にはいつも日本にいなかったんです。その代わり、アメリカでは住民税を払っていたわけです。だからそれを指して住民税を払ってないとか、脱税だとか言うのは、本当にイチャモンですよ。

竹中平蔵はなぜ嫌われるのか

住民票あるなら住民税は支払う

逆にその年の1月1日時点で住民票が国内にあるのであれば、それは住民税の支払い義務は生じます。繰り返しになりますが、住民税は前年の所得によって決まります。

前年の日本国内で確定申告をする必要のある所得のみを基準とされます。

海外赴任で、海外にて支払う税金の手続きを所属している法人が日本のように手続きをしてくれていることを前提としています。

冒頭にて”雇われている会社次第”と伝えました。

海外で仕事をするということはその国の税制度に従うという形になります。

社会保障の協定制度のある国などの場合も、日本に住民票を残したままというのが会社側から許されるのかどうかは、海外赴任の方であれば確認をされた方がよいでしょう。

所得税の支払いは必要

住民税はその年の1月1日時点に住民票がなければ支払いは不要になると伝えました。しかし、不動産収入があれば、確定申告をする必要があり、所得税の支払いはする必要はあります。

外国税額控除

税金は国際的に協力しましょうよというものになるよう努力をしている世界になっているはずです。

国内で課税されたものと国外で課税されたものの二重課税のようにならないための仕組みがあります。

日本で課税された不動産所得に対する所得税を、その現地の国の税額から少し引くことができるという仕組みです。

これを外国税額控除と呼びます。

滞在される国の税務に詳しい方に聞いてみるのが1番の近道です。

逆に日本国内にいて、海外不動産投資を行っていると使うことのできるものでもあったりします。

納税管理人の設置

海外にいるにも関わらず、「確定申告をしろ」やら「納税しろ」と言われますが、日本にいないのであればどのように行えばよいのかと疑問に思う方もいるかも知れません。

結論をお伝えすると日本国内で本人の代わりに税務署からの書類の受領、確定申告の提出、納税などをおこなってくれる”納税管理人“を定める必要があります。

納税管理人は個人である必要はないので、不動産賃貸管理会社が代わりにやってくれるというところもあったりします。

まとめ

この記事では、海外転勤に伴う住民票と税金の扱いについて、基本的な情報を提供しました。しかし、個々の状況によって適切な対応は異なるため、必ずしもあなたにとって最適な内容になっていない可能性が高いです。

海外での生活が始まっても、日本国内での不動産収入がある限り税務手続きは避けて通れません。

海外での新生活がスムーズに、そして法的な問題なく始められるよう、事前の準備と正しい理解が鍵となります。ひとりひとりにあった説明をする事ができますのでお気軽にご相談ください。