“築地市場跡地”の事業者が決定しました。

本日は築地市場跡地の事業者が決定したことによって現時点でわかること、想像できることについてお伝えします。

築地市場跡地は東京ドーム〇〇個分の広さ

東京都心に残された数少ない広大な一等地の大型再開発でその広さは”約19.4ヘクタール”。

事業予定の報道を見て「5万人収容の屋根付きスタジアムを建設予定」といった報道が出ました。

「ヘクタール」って普通はイメージわかないですよね。㎡に直すと197,000㎡になります。

一番最初に思ったことは「東京ドーム〇〇個分で表現してくれ」でした。

大きな施設を表現する時に「東京ドーム〇〇個分」という表現はよく使われるので誰しもが目にしたことがあるかと思いますが、その表現って結構曖昧で分かりづらいですよね。

今回の築地市場跡地の再開発ではその時の広さも多々取り上げられているわけで、その中にスタジアムも建設するわけなのだから、「東京ドーム〇〇個分」の表現は最適だと感じるのは私だけでしょうか。

東京ドームの広さは約46,755㎡です。そして築地市場跡地は約197,000㎡なので、東京ドーム約4.2個分に相当します。あまりすっきりしない数字になってしまいましたが。。。

私たち株式会社いえどきは築地にも支店を持っている賃貸管理会社です。

築地市場跡地は私たちの築地支店から東京ドームの直径分くらいの距離にあるので、Webに書かれる情報よりも実際に目で見ないとわからないような情報を中心に伝えていきたいと考えています。

本日は、まだ何も目で見て伝えることができるものがないので、東京ドームの話から発展してスタジアム関係の不動産屋さんならではの視点のお話を伝えてみたいと考えています。

築地市場跡地の今後の計画

「巨人はいつから東京ドームの本拠地が築地に移るのか?」などの声が様々なところからあがっているわけですが、どのようになるのかは現時点ではなにも発表されていません。

現時点で発表されている築地市場跡地を今後どのようなスケジューリングで仕上げていくのかの計画を見てみます。

  1. 2024年度末←「今ここ」

    都と事業予定者等による基本協定の締結

  2. 2025年度

    先行にぎわい施設の着工

  3. 2026年度末

    定期借地権設定契約の締結

  4. 2032年度

    第一期建築工事の完了

  5. 2038年度

    第二期建築工事の完了

これが2024年4月末時点で発表されている計画です。

にぎわい施設ってなんだ?

2038年までの遠い道のりだな。。。と感じる中で最初に公開されそうなものに「にぎわい施設」というものがあるようです。にぎわい施設がどういったものかを書き出してみました。

築地市場跡地のにぎわい施設
  • 波除神社の隣接地に「波除広場」やフードホール等の施設を一体的に整備し、年間を通じて様々なイベントを企画・開催
  • 築地場外市場と連携し、本設まちづくりへの期待感を醸成する新たなにぎわいを早期に創出
  • 地元との連携や、オーバーツーリズムの緩和に資する取組、こどもが訪れたくなる企画等により、幅広い層に愛される場所を目指す

にぎわい施設の予定エリア

豊洲の千客万来のようなイメージになるのですかね。

2017年には小池百合子都知事が「築地市場跡地を食のテーマパークにしたい」という発言から、豊洲の千客万来の競合となるから、豊洲千客万来の運営業者の万葉倶楽部が撤退も考えたなど右往左往しておりましたが、果たしてどのようになるのか今から楽しみで仕方ありません。

小池氏「築地『食のテーマパーク』は一つの考え方」千客万来との両立期待

なお、豊洲の千客万来の敷地面積は約10,840㎡で建築面積は約7,433㎡とのことです。東京ドームの約0.23個分の広さです。

築地市場跡地の食については専用のエリアが創設される予定は組み込まれています。

築地クリナリーセンター
  • 築地場外市場とも連携し、世界に誇る日本食をはじめとした美食を提供することで、江戸前の伝統的な食文化を国内外にアピール
  • 最先端の食の研究を含む、一流シェフの料理への想いや経験を学ぶ機会等、日本の食産業・文化の発展を促すフードイノベーション
  • プロムナードの両側に、商店街が続くように店舗を連続的に配置

定期借地権契約

計画を見る限り、定期借地権の契約がにぎわい施設よりも後なんだというのは、民間の取引しかしていないと「?」になってしまうところです。

東京都との借地権契約で最近話題にあがったのはお台場の施設でした。

多くの方に親しまれ、楽しんでいただきました「東京お台場 大江戸温泉物語」ですが、東京都との事業用定期借地権設定契約が2021年12月に期限を迎えるため、閉館することとなりました。

「東京お台場 大江戸温泉物語」 閉館のお知らせ 2021年6月23日時点

敷地面積は30,809㎡で、東京ドーム約0.66個分の広さでした。

この大江戸温泉物語が開業した頃は事業用定期借地権は20年以下という制限がありました。そのため、約18年で閉館することになってしまったと言われています。

2008年に事業用定期借地権の改正がされており、上限が50年まで延ばすことができるようになっています。

(事業用定期借地権等)

第二十三条 専ら事業の用に供する建物(居住の用に供するものを除く。次項において同じ。)の所有を目的とし、かつ、存続期間を三十年以上五十年未満として借地権を設定する場合においては、第九条及び第十六条の規定にかかわらず、契約の更新及び建物の築造による存続期間の延長がなく、並びに第十三条の規定による買取りの請求をしないこととする旨を定めることができる。

(事業用定期借地権等)

なお、豊洲の千客万来も50年間の定期事業用借地権にての契約が締結されています。

築地市場跡地の借地料はいくら?

では、築地市場跡地をいくらで借り手活用するのでしょうか?

事業予定者から提案している借地料は1㎡あたり、4,497円とのことです。

東京ドーム4.2個分の敷地面積の197,000㎡となるので、885,909,000円が毎月支払う借地料になるというのが現時点で公表されている情報です。

スタジアムはいつできるのか?

もっとも話題になっていると言える築地市場跡地のスタジアム計画についてですが、こちらについては現時点で何も情報が入っていません。第一期工事の完了予定が2032年で、第一期の完成予定図にスタジアムのようなものがあるので、2032年が目安という感じになることでしょう。

スタジアムの場所は?

ざっくりの場所ではありますが、画像の大きな赤丸のあたりがスタジアムの建築予定エリアになっています。

スタジアムで何が観れる?

これまた計画段階ではありますが、超多機能型施設でいろいろな物が観ることができるであろうと期待しています。画像から野球にサッカーに、アイススケート?に様々なライブイベントとして使われてることを想定されているようです。

築地市場跡地のスタジアム
  • 世界選手権をはじめとした各種スポーツ大会、コンサート、大規模展示会等の開催を想定
  • 可動席などを組み合わせることで、臨場感を損なうことなく、感動・楽しみが最大化される空間を提供
  • ラウンジやスイートルーム、貴賓室等のホスピタリティエリアは、東京にこれまでなかったスケールで充実
  • イベント時以外はコンコースの一部を開放し、ウォーキング・ジョギング等、多くの人がコミュニティスペースとして活用
  • 屋上の緑と浜離宮恩賜庭園の緑が連続して見渡せるビュースポットなど、ここにしかない空間体験も提供

巨人本拠地移転?

この報道でいの一番に盛り上がったなと感じたのは読売ジャイアンツの本拠地が東京ドームから移転するのではいないか?という点でしょう。

「巨人は築地移転で確定!」「東京ドーム跡地にウェンブリー級のサッカースタジアム!」跡地を巡りネット沸く

理由としては築地市場跡地の再開発事業者の中に三井不動産が代表で読売新聞が入っていたためです。

読売ジャイアンツの本拠地である東京ドームの所有者は株式会社東京ドームになります。

2020年に株式会社東京ドームは三井不動産の完全子会社になっていました。

三井不動産が1200億円で東京ドーム買収

当時の株主であった香港のファンドからの要求から守るための結果的な子会社化なので、その頃からこの築地市場跡地への本拠地移転のストーリーが出来上がっていたものではないと思われますが、読売ジャイアンツの本拠地移転は濃厚と捉えることはできます。

築地市場跡地の事業者
  • 三井不動産株式会社(代表企業)
  • トヨタ不動産株式会社
  • 株式会社読売新聞グループ本社
  • 鹿島建設株式会社
  • 清水建設株式会社
  • 大成建設株式会社、
  • 株式会社竹中工務店
  • 株式会社日建設計
  • パシフィックコンサルタンツ株式会社
  • 株式会社朝日新聞社
  • トヨタ自動車株式会社

読売新聞が入っているだけで巨人の本拠地移転というのであれば、豊田自動車が入っているので名古屋グランパスは?などというのは全く聞かないですね。

逆に、鹿島建設、清水建設、大成建設はすべてFC東京のスポンサーに名を連ねたりしています。

竹中工務店はガンバ大阪のスポンサーになっていたりします。

朝日新聞本社が目の前

仮に築地市場跡地が巨人の本拠地になったとしたらもうひとつ興味深い視点があります。

それは、築地市場跡地の目の前に朝日新聞社の本社があるという点です。

読売新聞を主スポンサーとする巨人軍の本拠地から東京ドームひとつ分の距離のところに朝日新聞社の本社があるという。

天井のあるスタジアムになってしまうということなので、読売ジャイアンツの放送をするたびに朝日新聞社が映るようになるのであれば、世界は平和に一歩近づく気がします。

巨人の球場の所有者が東京都?

仮に読売ジャイアンツの本拠地が築地市場跡地にできる予定のスタジアムに移るとしたら、巨人の本拠地は東京都所有の土地の上にあることになります。

ここに疑問を感じられる方もいらっしゃるかもしれませんが、これは決して珍しいことではありません。

現時点で4つの球団の球場の所有者が都道府県となっています。

球団球場名所有者開場
東北楽天ゴールデンイーグルス楽天モバイルパーク宮城宮城県1950年
千葉ロッテマリーンズZOZOマリンスタジアム千葉市1990年
横浜DeNAベイスターズ横浜スタジアム財務省、横浜市1978年
広島東洋カープMAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島広島市2009年
球場の所有者が都道府県である野球球団

参考までにその他の球場の運営者も載せておきますので参考情報としてでもご活用ください。

球団球場名所有者開場
オリックス・バファローズ京セラドーム大阪オリックスグループ1997年
福岡ソフトバンクホークスPayPayドーム福岡ソフトバンクグループ1993年
埼玉西武ライオンズベルーナドーム西武鉄道1979年
北海道日本ハムファイターズエスコンフィールド北海道株式会社ファイターズスポーツ2023年
東京ヤクルトスワローズ明治神宮球場明治神宮1926年
阪神タイガース阪神甲子園球場阪神電気鉄道1924年
読売ジャイアンツ東京ドーム株式会社東京ドーム1988年
中日ドラゴンズバンテリンドーム株式会社ナゴヤドーム1997年
球場の所有者情報まとめ

このように観ると甲子園が最も古く、その次にヤクルトの神宮球場となっており、神宮球場周辺は再開発で揉めていて、神宮球場の補修やらでも揉めているということで築地市場跡地のスタジアムはヤクルトに使わせてあげたいな。。。という感情が出てきてしまいました。

神宮外苑再開発 警告で考える「再開発のあり方」 伐採計画どうなる?

建設費はどれくらいになる?

築地市場跡地に建てるスタジアムの建設費はいくらくらいになるのかもちろん知るよしもないのですが、過去の球場、スタジアムの建設費と比較をしてみます。間違いなく過去1番になるでしょう。

球場名建築費開場
PayPayドーム760億円1993年
エスコンフィールド北海道600億円2023年
京セラドーム大阪498億円1997年
札幌ドーム422億円
バンテリンドーム405億円1997年
東京ドーム350億円1988年
ZOZOマリンスタジアム133億円1990年
ベルーナドーム100億円1979年
MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島90億円2009年
楽天モバイルパーク宮城70億円1950年
横浜スタジアム49億円1978年
阪神甲子園球場250万円1924年
明治神宮球場53万円1926年
各野球球場の建設費

またしてもヤクルトに同情したくなるような数字がでました。。。もちろん作られた時代が違うから一概に比較することはできませんが。

築地市場跡地のスタジアムが可変式を目指しているとなると札幌ドームがひとつの基準になるのかなと感じています。

野球場からサッカー場へ変幻自在?! 札幌ドームの変身っぷりが “まるで漫画”!!

札幌ドームは経営が第三セクターの株式会社札幌ドームが運営をしているのですが、お役所体質が強すぎということで日本ハムとは喧嘩別れしてしまい、2023年に日本ハムはエスコンフィールドに本拠地を移しました。お客さんが入れば入るほど日本ハムの赤字が膨らんで行くというシステムだったそうです。

サッカースタジアムの建設費

参考情報としてサッカースタジアムの建設費の代表的なものも集めました。

スタジアム名建築費
日産スタジアム603億円
埼玉スタジアム2002356億円
豊田スタジアム340億円
ノエビアスタジアム神戸230億円
カシマサッカースタジアム200億円
パナソニックスタジアム吹田140億円
サッカースタジアムの建設費

最後に

築地市場跡地の話からは離れてスタジアムの話ばかりになってしまいました。

まだ現時点で何もわかっていないので、情報の少なさ、すべてが予想であるという点はご理解くださいませ。

「なぜ広さを表現する時東京ドームを基準にするんだろう?」というのが子どもの頃からずっと疑問でした。

ただ、いざ東京ドームがなくなるかもしれないということを想像して広さの表現に東京ドームを使うことができなくなってしまうかもしれない日が来ることを想像したら、とてもさみしい気持ちになりました。

私たち株式会社いえどきは築地にも支店を持つ賃貸管理会社として、Webにはない、現地ならではの生の情報をお届けすることに注力しています。