日経平均株価がバブル期依頼の最高値の更新を続けていて毎日ニュースを賑わしており金融業界は大変な賑をみせています。

日経平均株価 バブル期につけた史上最高値を更新

株高が不動産関係にも大きな影響を及ぼすものであることは間違いありませんが、不動産屋が今後の不動産市場の予想のために活用している”住宅着工戸数“についてお伝えします。

住宅着工戸数から読み取れることは?

住宅着工統計から得ることのできる指標を通じて、経済の現状と将来のトレンドを理解するための貴重な情報源となります。

「貴重な情報源だから」と言われて、それらのニュースを見て、書かれている数字を見て理解をできる人はいないかと思います。住宅着工統計から得ることのできる情報から、主にこういった事が読み取ることができるというところからお伝えします。

経済活動の指標

住宅着工数は、建築産業の活動レベルを示す重要な指標です。建築産業は多くの労働者を雇用し、経済全体に大きな影響を与えるため、この数値が増加すると経済が活発であると考えられます。

建物を建てる時の現場の作業員から、交通誘導の人まで建設業では本当に多くの雇用を生み出しています。

消費行動の指標

新しい家が建つと、その家を「家」とするためには家具や家電が必要になります。

例として、新築の一軒家では新しい冷蔵庫やソファ、ベッドなどが必要になります。

これらの商品の購入が増えると、製造業や小売業の売上が上がり、経済がさらに良い方向に向かうことが期待されます。

金融市場への影響

新しい家を買う多くの人が住宅ローンを利用します。

住宅着工数が増えるということは、それだけ多くの人が住宅ローンを組むということで、これが金融機関のビジネス拡大につながります。

例えば、銀行や住宅ローン会社は、新しい住宅の建設ブームによって、より多くのローン契約を結ぶことができます。

政策立案の基礎

政府が住宅ローンの減税措置を導入するとき、その目的は新しい住宅の建設を促進し、経済を活性化させることにあります。

住宅着工数を分析することで、これらの政策が実際に市場にどれだけの影響を与えているかを評価することができます。

これにより、政府はより効果的な政策を立案するための貴重なデータを得ることができます。

2024年からローンを組んで家を購入した人への住宅ローン減税は、それよりも以前に購入した人との比較で改悪と言われて致し方ないものになってしまっています。本題とそれ過ぎてしまいますので、詳細は割愛します。

市場動向の予測

住宅市場には様々な種類がありますが、住宅着工数を分析することで、どの種類が成長しているかを把握することができます。

例えば、分譲マンションの着工数が増えている場合、市場の需要が高まっていることを示しています。

これにより、建築業者や投資家は、資源を効率的に配分するための戦略を立てることができるようになるというわけです。

地域経済の健全性

地域別に住宅着工数を見ることで、特定の地域が経済的にどれだけ健全かを評価することができます。

例えば、ある地域で住宅着工数が急増している場合、その地域の経済が活発であることを示しています。

これは、そこに住む人々の生活の質が向上していると考えることができます。

2023年の住宅着工数から読み取れること

2024年の1月31日に2023年の住宅着工数が国土交通省より公表されました。

ここから読み取れることについてお伝えします。

数値を表で見やすく

元のデータを見ていただければわかるかと思いますが、だいたいこのような形で言葉と数字が羅列されます。

令和5年の新設住宅着工戸数は 819,623戸。
前年比では4.6%減となり、3年ぶりの減少。
新設住宅着工床面積は 64,178千㎡,前年比7.0%減,2年連続の減少。

2023年の住宅着工数

なかなか読みづらいと感じる方の方が多いかと思います。私自身ももう少し見やすくしたいなと、重要かつ必要な箇所を抜き出して2023年の住宅着工数について表形式にしてまとめました。

表にまとめなくても、分かる人はわかるかと思うのですが、”“という字が多いというのは明らかなのが伝わるかと思います。

カテゴリ 変化率 戸数
新設住宅着工戸数(総戸数) 前年比4.6%減 81万9623戸
持家 11.4%減 22万4352戸
貸家 0.3%減 34万3894戸
分譲住宅 3.6%減 24万6299戸
分譲マンション 0.3%減 10万7879戸
戸建住宅 6.0%減 13万7286戸
注文住宅 受注戸数 マイナス31ポイント
注文住宅 受注金額 マイナス17ポイント

全体の傾向

2023年の新設住宅着工戸数は前年比4.6%減の81万9623戸となり、3年ぶりに前年実績を下回りました。

約82万戸になったことは、家を建てる仕事が減っているということです。

これは、人々が新しい家を建てるのを控えているか、家を買う余裕が少なくなっていることを示しているかもしれないということになります。

例えば、もし2022年には100軒の新しい家が建てられていたとしたら、2023年には約95軒しか建てられていないことになります。

このような減少は、家を建てる人たちの仕事の量に直接影響し、結果として経済全体にも影響を及ぼす可能性があるということを示しています。

持家、貸家、分譲住宅の減少について

2023年には、自分のために家を建てる「持家」が前年比で11.4%減少しました。

これは、もし2022年に1000軒の持家が建てられたとしたら、2023年には約886軒しか建てられなかったことを意味します。

これは2年続けての減少で、人々が自分の家を建てることに躊躇しているか、その余裕がなくなっていることを示唆しています。

同様に、「貸家」はわずかに0.3%減少し、「分譲住宅」も3.6%減少しました。これらの数字は、住宅を購入する人の数や種類が変わってきていることを示しています。

貸家とは、”建築主が賃貸する目的で建築するもの”と定義されていて、つまりアパートなど賃貸専用の建物のことになります。

貸家は2016年に大幅に着工数が延びた時期があったのですが、それは相続税の改正があり、その対策のために着工が延びたのではなかったかという見解です。

首都圏は好調

特定の地域では住宅市場が活性化しています。

例えば、首都圏では分譲マンションの着工数が0.7%増加し、中部圏では4.3%増、近畿圏では3.2%増となりました。

地域 分譲マンション着工数の増加率 具体例
首都圏 0.7% 前年に1000軒建てられた場合、2023年には約1007軒
中部圏 4.3% 前年に1000軒建てられた場合、2023年には約1043軒
近畿圏 3.2% 前年に1000軒建てられた場合、2023年には約1032軒

これらの地域で新しいマンションに対する需要が高まっていることを示しており、これらのエリアは地域経済が健全であることの証とも言えます。

その他の地域が大幅な現象

その他の地域については、一括りにまとめられています。

総戸数(前年比 6.4%減) 持家(同 11.2%減),貸家(同 0.7%増),分譲住宅(同 9.9%減)うちマンション(同 7.6%減),うち一戸建住宅(同 11.0%減)

2023年の住宅着工数

また見やすくなるかなと表にまとめています。

カテゴリ 変化率 具体例
総戸数 6.4%減 前年に1000軒建てられた場合、2023年には約936軒
持家 11.2%減 前年に1000軒建てられた場合、2023年には約888軒
貸家 0.7%増 前年に1000軒建てられた場合、2023年には約1007軒
分譲住宅 9.9%減 前年に1000軒建てられた場合、2023年には約901軒
マンション 7.6%減 前年に1000軒建てられた場合、2023年には約924軒
一戸建住宅 11.0%減 前年に1000軒建てられた場合、2023年には約890軒

これらの数字から、「その他地域」では、人々が新しい家を建てることに対して慎重になっていることが見て取れます。人口が減少している地域や、経済的に厳しい状況にある地域では、新しい住宅の需要が特に低下している可能性があります。このような状況は、地域経済の健全性にも影響を及ぼすため、注意深く監視する必要があります。

戸建ての減少が目立つ

戸建住宅の減少傾向は、特に「その他地域」で目立っています。戸建住宅の着工数が前年比で11.0%減少しており、これは持家全体の減少率11.2%とほぼ同等で、分譲住宅全体の減少率9.9%よりも高い減少率です。

さらには、前年同月実績比較では、23年12月で25カ月連続減少傾向となっています。

原材料価格の高騰の影響をモロに受けてしまっているというのもあるのでしょうが、これまでの建売ブームの終焉がいよいよ迫ってきたのかという予想を立てることができたりします。

そんな中、日本の戸建てブームを牽引してきてくれていた飯田グループに下記のような報道がなされました。

住宅大手の飯田グループ、「顧客満足度ナンバーワン」などに根拠なしと消費者庁が措置命令

根拠がないのに「注文住宅会社No.1」などと宣伝したことが景品表示法違反(優良誤認)に当たるとして、消費者庁は1日、住宅大手「飯田グループホールディングス」(東京)とグループ4社に再発防止を求める措置命令を出したと発表した。

住宅大手の飯田グループ、「顧客満足度ナンバーワン」などに根拠なしと消費者庁が措置命令

お客様満足度

10年連続1位

このように簡単につくれるものですからね。。。日本人がこういったものを好むのは義務教育の頃の”賞状“の偉大さからなのかなと考えていたります。

まとめ

不動産屋は通常、新設住宅着工戸数のようなデータを常時チェックしています。

これを、賃料や売却価格を決める際の重要な指標として活用しています。※もちろん金融情報や雇用情報などの経済的な指標もチェックしています。

東京23区の新築マンション価格、初の1億円超 23年平均 と、景気のよい報道ばかりが目立つ昨今ですが、2023年のデータを見る限り、日本全体では着工数という観点ではありますが、減少傾向にあるということは知っておく必要のあることのひとつでしょう。

不動産業者はこのようなデータを価格設定の指標として利用していますが、データはあくまで参考の一つとして、市場の動向を知るためにでも活用ください。

不動産の賃貸業で大切なことは、短期的な情報に振り回されるのではなく、長期的な視点で考えることができるかという点です。