2023年の秋頃から不動産会社からの賃料が送金されないという事で、賃貸オーナー界隈で不安が広がっていました。2024年になり全国賃貸住宅新聞にて取り上げられました。

エージークリエーションによる賃料未納の問題点を探る

報道から感じた事を書き出してみます。

賃貸管理会社経由の家賃経由は通常?

賃料の流れは、入居者→保証会社→エージークリエーション(賃貸管理会社)→大家さんおいう流れとの事でした。

「えっ?不動産会社を経由するの?」と感じられた方も少なくないと思われます。

ただ、これは不動産の賃貸管理会社としてはごくごく普通のことになります。一昔前は管理会社の管理プランで、「家賃集金まで行うか否か」で賃貸管理手数料に差があったりしました。

家賃の”集金代行”が賃貸管理のプランで別で別れているものを探すのに苦労するくらい、すっかりなくなってしまっているものでした。この図は日本で1番と読んでも過言ではない住友不動産の賃貸管理プランです。(住友不動産の賃貸管理プラン)

ひと昔前はこのように別れているのが通常でした。

ただ、今は、家賃の徴収業務は保証会社が主に行うようになったので、賃貸管理会社が家賃の借主からの家賃徴収業務の負担が大幅に減りました。それにより、賃貸管理を任せてもらえるなら、家賃集金代行も当然のごとく行いますよという形になっています。

なぜ不動産会社を経由するのか?

家賃の徴収業務は不動産の保証会社を行うのであれば、なぜ賃料は不動産会社を経由することになるのでしょうか?

賃貸管理手数料の支払い責任がどの当事者にあるかという観点から見ると不動産会社を経由するということについては納得いただけることでしょう。

入居者→保証会社→大家さんという流れで、大家さんから賃貸管理会社に手数料を支払うとなると、大家さん側に送金の煩わしさ、振込手数料などの負担をかけてしまう形になります。

そのため、入居者→保証会社→不動産賃貸管理会社として、賃貸管理手数料を差し引いた金額のみを大家さんに送金するという流れが最も一般的になっているといえます。

なお、冒頭報道の全国賃貸住宅新聞の記事では、更にもう一社収納代行会社が挟まっていてその形がいびつであったという事に触れておりますが、これは嘘っぽいなと感じています。

実際の被害者の方がことの経緯をnoteにまとめておられ、この会社側の言い分は信頼するに値しないものであろうと断言できるようなものなので。

エージーへの家賃入金をまとめるために収納代行会社を利用していた。(家賃の流れが 入居者 -> 保証会社 -> 収納代行業者 -> エージーとなっていた。)
その会社から月利20%で融資を受けたが、今年の3月、4月に売掛のトラブル?で資金繰りが悪化し、返済ができなくなった。
収納代行業者が集めた家賃を無理矢理、返済に当てたため、エージーには送金されなくなった。

所有不動産の管理代行会社が事業継続困難になった話

賃貸管理委託契約の解除条項は確認

今回の件については、もう過ぎてしまっていることなのでどうしようもありませんが、似たような事が起きないようにするためにはお願いしたいなと思う賃貸管理会社があったら、管理委託契約書の解約についての条項を確認しておくことを推奨します。

日本国民はお人好しが過ぎるから「これから契約しよう」という相手との「解約について」の確認を避ける傾向にあります。イメージはかけ離れてしまうかもですが、結婚する時に離婚の条件を決めるみたいなことを好まない国民なんでしょうね。

話を戻します。管理委託契約の”契約解除条項”というのは「これをやったら無条件で契約解除だよ」というのが書かれています。大半の管理委託契約書の契約解除条項の負担があるのは大家さん側になってしまっていたりします。例えば、今回の事例では「管理会社が、家賃を大家さん宛に送金するのを2回以上遅れたら契約解除できる」というのがあればスパっと終わらせることができたのではないかなと。

下記は実際の時系列のまとめの一部なのですが、百歩譲って、1月時点は契約間もないからまだわかりますが。。。5月の時点で解約するように動きますし、6月の送金遅れで、もう解約以外の選択肢はなく入居者にも保証会社にも協力してもらうように連絡しますね。

2022/11月
物件購入、管理代行契約

2023/1月
送金システムの不具合で家賃送金が1日遅れる

2023/5月
人為的ミスで家賃送金が15日->31日に遅れる

2023/6月
新システムの導入のため、15日->20日に家賃送金が遅れる

2023/9月15日
7月に導入したシステムの不具合で送金が15日->22日になると連絡

所有不動産の管理代行会社が事業継続困難になった話

管理委託契約の解約違約金

上記は契約違反があった場合の解約についてですが、ただなんかその会社に不信感を感じて賃貸管理をお願いするのを辞めたいと伝えることはもちろんできます。

そういった時に違約金をたっぷり取ろうとする業者が少なくありません。賃料の3ヶ月分くらいが多いような気がしますが、6ヶ月分とかを取るところも少なくありません。

携帯電話の解約違約金について国が関与しないとどうにもならないみたいな世界ではないので。。。

不動産投資をするのであれば、それは事業になるので、管理を任せる時にその金額が高いところは、あなたを縛り付けたいという事なのでそこは選択肢から外すという選択肢を持てるようにはなっておく必要があるでしょう。

被害者の方のひとりのポストなのですがたどり着いた管理会社はそこになりましたか。。。となりましたが、

さすがに確認はされているようです。とはいえ、FJさんからの管理移管であまりよい思い出ありませんが。。。

管理移管についての不動産会社目線

管理会社を変更することを”管理移管”などと呼びます。この時に違約金がかかる事が少なくなく、その違約金について確認してから管理会社と契約しましょうと伝えてきました。

しかしながら、管理委託契約を解除される際に違約金を定める不動産会社の気持ちもわからなくはないです。管理会社変更の手続きって、なかなかに大変なんです。その業務量を想像すると確かに「管理委託契約をしたんだから変更するなら違約金取るぞ!」としたくなる気持ちはよくわかります。

ただ、それは、賃貸の管理会社が顧客に「お店変えたい」と思わせてしまった事が原因なわけなので、違約金を設けるのではなく、顧客であるそれぞれのオーナーさんに提供するサービスを変えて、満足度を少しでもあげてもらうというのが正しい努力の方向性だなと考えています。

トラブルに会わないためにできること?

こうした不動産周りのトラブルの話はこの業界にいるためか、聞く度に「あぁ、またか。。。」となります。

どうすればこのようなトラブルに合わずに済むのでしょうか?

結論をお伝えすると自分自身の知識を高めることしかないと私は考えています。

例えば、「家賃の未納については保証会社というのがあるから心配無用ですよ!」という営業トークを受けたことがあるのではないでしょうか?大半の人が賃貸物件に入居した事があるから「あぁあの保証会社か」と納得して、問題なさそうと安易に考えてしまう人が大半です。

ただ、家賃の保証会社という名前で止まらずに、保証会社ってどういう会社何だ?というのをその人の言葉だけを鵜呑みにせずに調べて行く姿勢が必要と考えています。

例えば、保証会社でも”収納代行型”と”代位弁済型”の内容まで正確に伝える事ができますでしょうか?これは一例ではありますが、そういったなんだかふわっとしている事をふわっとしたままにせず、徹底的に追求できるようになる事でしたトラブルは防げないのではないかと考えています。

もしも、そのように何かを徹底的にできないのであれば、それは手を出さないこと、つまり不動産投資などに手を出さない方がよいと言えるでしょう。

保証会社の種類については、不動産業界にいる人でも答える事ができない人の方が多そうなので、もう少し誰でも流用できそうな質問にすると。。。「自分自身の携帯電話の料金プランの中身説明できますか?」という感じですかね。

賃貸住宅管理業登録意味あるのか?

区分マンションの販売と、300戸強の賃貸管理を手がけていたとされるエージークリエーション

エージークリエーションによる賃料未納の問題点を探る

と、管理している戸数が300戸以上との事で管理戸数250戸以上であれば登録を義務付けられている賃貸住宅管理業に登録していたのかなと、ふと見てみました。

無事に登録されていることの確認は取ることができました。

それで安心するのではなく、逆に。。。「何の意味もない登録制度だな」と感じたのが正直なところです。

この問題がもう少し大事になった時にどのような動きになるのか、はたまた何もしないのか見守るしかないですね。

賃貸住宅管理業に登録している業者は9335社でした。登録時に資産の要件がありましたが、その資産要件は「普通の会社なら問題ないでしょう」程度のもので、つまりほぼ無条件に近いと言える資産要件でした。

“賃貸経営管理士の設置義務”があったりしますが、現在の登録している人の大半が宅地建物取引士からスライドした人たちです。試験が国家資格化したとは言いますが3日間くらい勉強すれば合格できる程度の試験です。

人材派遣業のように低くはない資産要件を設けたり、同じ国土交通省の建設業のように毎年の事業報告をするようにというのが必要なのではないかなと強く感じております。

いずれにしても今回の当事会社の株式会社AZ Creationさんは、”不動産取引を日本一透明なものへ”と掲げていただけているので、せひとも一連の流れを何があったのかを透明化していただきたいものです。