部屋を貸し出したいといくつかの不動産屋に話を聞くと「私たちはsuumoに掲載します!」「弊社がHOME’Sで物件を広告します」「当社はat homeに広告活動を注力しています」と、業者ごとに広告する先のポータルサイトが異なる事が少なくないでしょう。

それぞれなんとなく名前は聞いた事があるかとは思いますが、それぞれどこかどのように違うのか?までを把握している方は少ないかと思います。

不動産屋目線でそれぞれのポータルサイトの特徴を比較して、不動産屋さんの営業の話を聞いてみてください。なんだかふわっとしていた”ポータルサイト”という言葉がより鮮明になるはずです。

不動産ポータルサイトは3強:賃貸

賃貸においての不動産のポータルサイトは下記の3強と言って異論はないしょう。

不動産ポータルサイトの3強

いえらぶCHINTAIなどありますが、登録者数などで圧倒的な差があるので、今回はこの3つの比較となります。賃貸経営のオーナーさん向けなので不動産投資専用の楽待は割愛しています。

物件の掲載数は圧倒的にsuumo

賃貸も売買も含めての数ですが、物件の掲載数はsuumoの圧倒的な一人勝ち状態です。

登録物件数は、suumoが7,559,191件。HOME’Sが5,023,060件。at homeが2,236,394件とsuumoの圧勝状態でした。

東京商工リサーチ 2021年4月の調査

掲載件数1000万以上を謳っているニフティ不動産や本日も1300万件の物件数が掲載されているgoo不動産などは、”他社提供”の情報を掲載しています。”他社”というのは、suumoやHOME’Sやat homeなどです。それらをまとめて横断的に検索できるというポータルサイトなので、純粋な掲載物件数の比較からは除外しています。

登録している不動産業者はat homeがダントツ

登録業者数は手動にての集計です。

登録業者数は、at homeが61,235社。HOME’Sが21,678社。suumoが20,352社で、at homeの一人勝ち状態でした。

ポータルサイトの登録業者数比較
at home登録業者数根拠
HOME’S登録業者数根拠
suumo登録業者数根拠

at homeは業者間の取引に向いている

全国に宅建業者は約13万社の登録があります。その半数ほどがat homeに加入しているという事になります。

登録物件数では決して多くはないat homeが何故に登録業者数では他2社に二倍以上の差をつけているのでしょうか?

結論をお伝えするとBtoB取引として最も使い勝手がよいからです。業者間同士のサイトで”レインズ”というのは聞いた事があるのではないでしょうか?そのレインズに次いで利用されている業者間のサイトという立ち位置にあるためat homeの登録者は圧倒的に多くなっていると言えます。

suumoは完全に消費者向けつまりBtoC向けになっています。HOME’Sはここ数年Salesforceの基幹システムを導入してBtoBの道を切り拓こうという動きは伝わりますが、at homeの背中はだいぶ遠いというのが現実です。

新しい会社はHOME’S

HOME’Sは1995年にネクストホームズとしてはじまりました。

suumoはリクルートが運営会社で、1976年に”住宅情報”がはじめて創刊され、2009年に住宅情報はsuumoブランドに統一されたと歴史があります。

at homeは1967年が創業です。不動産情報の図面を配布するという業務からはじまりました。歴史があるからこそ登録業者数もダントツという見方もできます。

HOME’Sには価格帯の安い物件が集まる

そんな中新しい会社であるHOME’Sは後発組であるからこそ革新的な事をしました。

suumoやat homeは物件の掲載枠を売り物にしていました。「10件物件を載せたら1万円」といった感じです。それとは違うやり方で、HOME’Sは”反響課金制“というものを導入しました。「物件は無限に掲載してもいい。その代わり、お問い合わせがあったらその賃料の◯%を払ってください」という制度です。

これは当時としては画期的で、資本力のない新しい不動産屋さんにとっては嬉しいものでした。そして、HOME’Sは物件の登録数としては、No1の座を当時は独占していました。そのため、HOME’Sを検索すると”総掲載物件数No.1の不動産・住宅情報サイト『LIFULL HOME’S』”などと出たりします。

が、現在ではsuumoに登録物件数では大きな差が出てしまったというのは上述のとおりです。

“反響課金制”の何が駄目だったのでしょうか?理由は簡単で、賃料の◯%を支払わなければならないとなると、賃料の高い物件を掲載すると、その広告にお問い合わせがあった時に支払う金額は大きくなり、逆に賃料が安い物件のお問い合わせがあったら、支払う金額が安く済むという仕組みでした。(それぞれ下限上限があります)

その結果HOME’Sには価格帯域が安い物件の方が多くなってしまったという形になりました。(根拠となる情報はなく体感です)

そのためか、HOME’Sはなんだか目指すところが変わったなと感じる昨今です。Salesforceの導入により、いわゆるおとり広告を撲滅に向かっての努力はHOME’Sが一番大きいように感じます。

実は室内画像が少なくなるsuumoの仕組み

登録物件数では圧倒的なsuumoは閲覧数でも他を圧倒しているでしょう。経営母体がリクルートであるためかけることのできる広告費が他社を圧倒しているためです。

そんな閲覧数が圧倒しているであろうsuumoなのですが、物件の写真の数は少なくなってしまうとういシステム的な欠陥があります。

suumoは画像を登録すると点数が付与されます。その点数が高い順に物件が検索結果に表示されるという仕組みなのです。

なぜ、それが室内画像が少なくなってしまうのかというと。。。例えばお風呂の写真をみたいなという時、入り口から1枚、湯船の中だけの写真を1枚とより詳細に見たくなるというのが通常かと思います。

リビングも入り口側から1枚、窓側から1枚と。。。

しかし、そういった事をすると点数が下がってしまうんです。お客さんがこういう写真もっと見たいだろうなとよかれと思って画像を余計に投稿すると、検索結果で不利になってしまうという仕組みになってしまうんです。結果的に、その室内画像が少なくなってしまうという事が起きています。

部屋探しをしている顧客アンケートでポータルサイトで重視していることは?と聞けば必ずと言っていいほど「写真の充実」が1位にもなるにも関わらず、そのような仕様になっており、それが業界の通常になってしまっているのは寂しい限りです。

まとめ

伝えてきました、不動産ポータルサイトの比較を表にまとめました。

ポータルサイト 物件掲載数 登録業者数 特徴
Suumo 7,559,191件 20,352社 リクルート社の圧倒的な広告力
HOME’S 5,023,060件 21,678社 価格帯の安い物件が多い傾向
at home 2,236,394件 61,235社 業者間取引に適している

なんだか、ふわっとしていた”ポータルサイト”という言葉の意味が多少は伝わったのではないでしょうか。

一般の人が聞き慣れない言葉のはずなのに、その言葉のチューニングを行わないで一方的に説明を続ける営業マンは少なくありません。わからない言葉、ふわっとしている言葉をそのままにして、大切なお部屋を預ける不動産屋さんを選ぶと後から後悔をしてしまう可能性があります。

私たち株式会社iedokiは、ひとつひとつの言葉を大切にして、少しでも言葉が伝わっていないなと感じたらすぐに伝わるような別の表現を用いて説明しなおします。

“難しいことは簡単に、簡単なことは深く”を意識した説明を心がけています。どうぞお気軽にお声がけください。