転勤が決まり、「自宅を賃貸に出そうかな」と考える方々が直面する共通の悩みがあります。
それは「家具をどうするか?」という問題です。多くの場合、自宅の家具には愛着があり、単に手放すのは惜しいもの。廃棄するにもお金がたくさんかかってしまいます。
そのため、「何とかこの家具をこのまま使ってくれないかな?」と考えられる方は少なくないでしょう。
しかし、日本の賃貸市場では家具付きでの貸し出しは一般的ではないので家具もすべて搬出していただいて貸し出すというのが一般的になってしまいます。
本記事では、日本の賃貸市場での家具付き物件の現状と、家具をどう扱うべきかという悩みにどう対処すれば良いのかをお伝えします。具体的には、賃貸に出す際に置いていってもよいものとそうでないものを区別し、どのように準備を進めるべきかについて、具体的なアドバイスを交えてご紹介します。この情報が、転勤や長期の留学などで自宅を賃貸に出すことを検討している方々の参考になればと思います。
家具付きの賃貸物件の少なさ
まず、現在の賃貸市場でどれだけ家具付きで賃貸に出ているのかを見てみましょう。
※検索は不動産業者しか使うことができないATBBのシステムを使っています。
102,301件
これが「東京都」とだけ入力してヒットした数です。
次に「家具付き」を入れてみます。
2,527件
思わず「おめでとうございます。」と声が出てきそうな数にまで減りました。
「家電付き」という検索条件もあるので、そちらも試してみます。
2,520件
今度は7件減っただけでした。
ここから考えられることは、「家具付き」と「家電付き」の数はほぼ=であるという点です。家具もついてるし、家電もついていると考えられます。
ファミリー用物件だと家具付きはもっと少ない
続きまして、エリアは変えずに「2LDK以上」の間取りの場合を見てみます。
61件
61件にまで減りました。
さらに「3LDK以上」の間取りにしてみます。
23件
ようやくゴールが見えてきたという数字になりました。
エリアは変えておらず東京全体での数字です。
とにかくこれくらい「家具家電付き」のまま賃貸に出すという状況が珍しいということを伝えたかった次第です。
家具家電付きの需要があるところ
日本の賃貸市場でのこの家具家電付きの賃貸物件の少なさに嘆いている人々もいます。
それは海外から日本に来られる方々です。
私たちは海外から来られる方々の賃貸を行う部門も設けています。
こちらから来るお問い合わせでは、10件お問い合わせがあったら6件くらいは「家具付きの物件を探しています。」という質問があります。
もちろん、ひとり暮らしで生涯日本で暮らすわけではないという前提で来られるからというのがありますが、家具家電付きの需要があるレイヤーは間違いなく存在します。
残していってもよい家具
そんな家具付きのままが通常ではない日本の賃貸市場において、「こういったものは残しておくと喜んでもらえる」というものをお伝えします。
- エアコン
- 照明
- カーテン
「そんなのは家具家電じゃない!」とお叱りの声が聞こえてきますが、「喜んでもらえる」というのを想像するとこの3点しか思い浮かばなかったです。
エアコンについては、日本の賃貸市場においては「ある」が通常になります。
照明は、リモコン付きの天井に通常着いているかのようなものであれば喜んでもらえることが多いですが、シャンデリア型のようなものは、逆に嫌われがちになってしまいます。
カーテンは、大きな窓で特殊なサイズである時は喜ばれることが多いです。
家具家電付きで貸すリスク
家具付きの賃貸が一般的でないことは伝わったかと思います。日本の賃貸市場がそうであるからというだけが理由ではなく、家具家電付きで部屋を貸し出すとあなた自信に大きなリスクが生じてしまいます。
日本の賃貸では大家さんに貸し出したものが通常に使えるようにという「修繕義務」というものがあります。
冷蔵庫を残しておきました。壊れました。入居者から言われます。「大家さん直してください。」と。
さらには、「使えなかった期間一部滅失による賃料の減額請求もします」とまで言われてしまう可能性があります。
そのようにならないように、特にエアコンでは注意が必要で、その注意については下記を参照ください。
そういったリスクを負ってまで家具家電のまま部屋を貸し出しますか?と聞くと大概の方は家具家電を処分または、知り合いに預けたりトランクルームに預けたりする形になります。
借主に委ねるパターン
「もしかしたら使ってくれる人がいるかも知れない!」という希望から、募集中は家具を置いておいて、「借主さんがいらないって言ったら、私の費用負担で処分します!」と言っていただける心優しく物を大切にされる方もたくさんいらっしゃいます。
ただ、これもやはりトラブルのもとになってしまうものです。
基本残そうかなと考えられるものは、大型の家具または家電になります。
借主が入居する際に「不要」というので、いざ処分しようと大きな物を動かしたら、その裏に大きなキズがあったり。。。修繕に時間のかかってしまうようなダメージが生じていたりで賃貸借契約の履行に影響を及ぼすようなものが出てしまう可能性があります。
「物は大切にしたい」「ムダ遣いしたくない」という気持ちはとても大切にするべきであると考えていますが、様々なリスクと天秤で計った時に、やはり家具家電を残しておくという選択肢を私たちが推奨することは難しいというのが本音です。
別部屋で使わさせてください
数多くある日本の賃貸管理会社の中で、私たちしかやっていないであろうなというサービスをお伝えします。
先ほどお伝えしたように、私たちは外国人向けの賃貸サービスも展開しています。
この外国人向けのサービスでは、「家具家電付き」を求められているのです。
このタイミングがマッチすれば、ぜひともあなたが今処分しようか悩んでいる家具を利用させてください。
もちろん、運送方法やその後の家具をどのようにするのかなど細かな取り決めを行う必要はありますが。
まとめ
家具付き賃貸が一般的でない現状を踏まえた上で、結局のところ、自宅を賃貸に出す際に家具をどのように扱うべきかは、一つの大きな判断点です。
愛着のある家具や家電を部屋に残しておくという選択肢は、リスク管理という観点から推奨することはないです。残念ながら、賃貸契約におけるトラブルの原因となり得るため、大切にしてきたアイテムを保持するための別の解決策を考えることが賢明です。
もしも、タイミングがあうようであれば、ぜひ私たちが展開している外国人向けの賃貸サービスで求められている部屋であなたの大切な家具を利用させてください。