Q
転勤が決まったので、住んでいた自宅を賃貸に出したいです。賃貸に出すまでどれくらいの期間が必要でしょうか?
A

すぐに入居者に入ってもらいたいなどの特別な理由がない限り、貸主側に合わせて調整されるので、期間や期限についてシビアになる必要はないです。

明日から賃貸の募集を開始することはできました、半年後に家を出ていくから貸出の準備をしたいという方もいますし、新しい家が決まってからと様々です。

賃貸の大家さん側にイニシアチブがある

「いつから準備をすればいい?」というのは住んでいる自宅を賃貸に出そうという方から最もよくいただく必要のある質問のひとつです。冒頭の回答でもお伝えしたとおり、「今すぐ入居したい」「1日も無駄なく入居者に入っていてもらいたい」という特別な事情がない限り、「いつから」や「いつまで」といった期限についてにシビアになる必要はないです。

賃貸繁忙期に合わせる

自宅を貸し出す期限についてはイニシアチブはオーナーさんとなられるあなたにあるので、シビアになる必要がないと繰り返し伝えて来ましたが、あえて言うなればというものはあります。

それは、「入居者が繁忙期に合わせて入居できるように」という点です。賃貸市場の繁忙期はエリアごとに若干の差異はあるとはいえ、1月末~4月上旬までというのが一般的です。

繁忙期に合わせて「賃貸募集開始!」とする事ができるのであれば、入居者がスムーズに決まりやすいです。繁忙期に合わせて入居開始できるように準備をするには、年末年始には「この部屋入居者募集しています!」と広告をする事ができるというのが理想的なスケジューリングです。

賃貸繁忙期は業者手配が困難

「繁忙期に賃貸の募集をすればいいんだ」とそこだけに照準をあわせてしまって、その間には入居者が入居できなかったという事になってしまう事もありえます。

今住んでいる部屋を賃貸に出すのであれば、専門業者によるクリーニングを入れたり、修繕が必要なところはリフォームをしたりしなければならない場合があります。繁忙期はそういった業者さん達も繁忙期になるので、一見さんはお断りという業者も少なくないですし、1ヶ月、2ヶ月待ちという事も多々あります。

少し違う話ではあるのですが、全世界での半導体不足により給湯器の交換のために”半年待ち”という状況になってしまった事があります。

そのように、「結局繁忙期の間に入居者を募る事ができなかった」となってしまわないように、期限などについてシビアになる必要はないものの、準備期間には余裕を持って臨むようにするのが一番でしょう。

賃貸の入居者側は2週間以内に

貸主さん側とは反して入居者さん側は入居時期についてシビアになる必要があります。

「申込みから2週間以内」「審査通過から2週間以内」などと2週間というのが東京を中心とした首都圏の賃貸市場では一般的になっています。

なお、”2週間以内”というのは、「住まなくてはならない」という意味ではなく、「賃料を払い始めなければならない」という意味です。これを不動産業界では「賃発(ちんぱつ)」と呼んでいます。

そのため、入居者側は「新居を探し始めるのは1ヶ月~2ヶ月前からがよい」といった情報が多くなっています。

不動産仲介会社が原因の慣習

「生活の中心となる住居を選定するための期間がたったの1ヶ月?」と感じる方は少なくないかと思います。このようになってしまったのは、世にはびこる不動産仲介会社の悪しき慣習から生まれてしまったものであろうなと思われます。

不動産賃貸の仲介会社は、その物件を確保しておこうと”申込”をします。その申込がひとつだけの物件だったらよいのですが。。。ぱっと部屋を見て「ここに決めます!」とひとつの物件に絞り込める方は多くはないです。通常「これとこれのどっちかがいい。。。」と複数の選択肢になります。

その場合、不動産仲介会社は「両方の物件に申し込んで審査が降りたらどっちにするかの最終判断をしましょう」とナビゲートすることが一般的でした。これが2つの物件とかならまだしも。。。3個も4個も同時に申込を入れるという業者も少なくありませんでした。

不動産仲介会社のこういったナビゲートは、借主側にとっては正しい営業といえます。しかし、大家さん側としては、ただ確保されるだけのキャンセル前提の申込は迷惑以外の何物でもありません。

そういった行為を防止するために、2週間という短い期間の慣習になったのだなとこの業界にいて感じます。

みんながみんな自分たちにできる精一杯の事をして、最適解を探したら、なんだかアンバランスな形になっているというのが感じているところです。

賃貸大家さんの被る被害

上記の入居者側は”2週間以内”というものが、大家さん側からは「何が問題なの?」と感じるかもしれません。特に初めて部屋を賃貸に出すという方はそのように感じることでしょう。具体的な事例を用いて伝えてみます。

入居希望者から入居の申込があり「1ヶ月後から入居します」と言われるので、大家さん側は新規の募集を止めます。しかし、入居希望者から契約締結前の3週間経過した時点で「キャンセルします」と言われたとします。そうなったら、大家さん側はまた新たに賃借人を募集しなければなりません。その3週間の期間中、入居者を獲得する機会が存在した可能性がありますが、残念ながらその機会を活用することができなかったという結果になります。機会損失というものです。さらに、これで繁忙期の期を逸してしまうということもありえます。

こういった大家さん側が被るであろう被害を少しでも減らすべく「申込から2週間以内」のような慣習が根付いたというわけです。

まとめ

賃貸市場の慣習についてもお伝えしましたが、まとめると、期間や期限について大家さん側では特に意識をする必要のないことでしょう。

賃貸市場の繁忙期に合わせるのが理想的とは伝えたものの、それはあくまでも調整できる場合です。特に転勤は突然訪れるものなので、賃貸物件の準備期間は人それぞれになる事でしょう。

賃貸の貸出のための期間は大家さんの都合に合わせて調整されるため、特別な理由がない限り、厳密な期限設定に縛られる必要はなく、最適なタイミングを不動産屋さんと相談しながら見つけましょう。