- Q賃貸で部屋を貸し出しても、管理費と修繕積立金は今後も払い続けなければならないのですか?
- A
はい、賃貸物件のオーナーとして部屋を貸し出している間も、管理費と修繕積立金の支払いを続ける必要があります。
賃貸物件のオーナーが部屋を貸し出している間に発生する管理費や修繕積立金の支払いついてお伝えします。特に海外転勤の場合は注意しなければならない事があるので、しっかりとお伝えします。
修繕積立金と管理費は確定申告時に注意が必要
賃貸の経営を始めると誰しもが通らなければならない道として「確定申告」というものが立ちはだかります。その時に、「何が経費として計上できるのか?」というのを必死に探すこととなります。
その時に、管理費と修繕積立金について迷われることになる可能性が限りなく高いであろうとお伝えします。
管理費は即時経費計上可能
管理費は単純に経費として即時計上して問題のないものです。
賃貸の現場にいると。。。入居者からいただく「管理費」、賃貸管理会社に支払う「管理手数料」など"管理"の名前のつく費用が少なくありません。
ここで言う管理費は「建物管理会社に対して支払う管理費」です。
修繕積立金は経費?
問題は修繕積立金です。修繕積立金をどのように計上するのかを調べてパッと理解できる人なんていないのではないであろうと思われるくらい「何を言っているんだ?」という状態になります。
先に結論からお伝えすると大半のマンションがそのまま経費として計上して問題ないです。その時の勘定科目は「修繕費」とします。
ちょっと調べただけだと、「大規模工事とか実際に工事をする時まで経費として計上できないんじゃないか?」と思えてしまうような情報がたくさんあります。
ただ、大半の分譲マンションが毎年経費として計上して問題ない形にしてくれているはずです。(自主管理の建物などは注意が必要です。)そのための条件は以下のとおりです。
賃貸の用に供するマンションの修繕積立金の取扱い
- 区分所有者となった者は、管理組合に対して修繕積立金の支払義務を負うことになること
- 管理組合は、支払を受けた修繕積立金について、区分所有者への返還義務を有しないこと
- 修繕積立金は、将来の修繕等のためにのみ使用され、他へ流用されるものでないこと
- 修繕積立金の額は、長期修繕計画に基づき各区分所有者の共有持分に応じて、合理的な方法により算出されていること
一見すると難しい言葉を使っいますが、読んでみれば「あっ当たり前の事が書かれているだけか」ということに気がつくような説明です。
それらの決まりがしっかりしていれば「毎年経費として計上してよい」という取り扱いになっています。
修繕積立金の支払がマンション標準管理規約に沿った適正な管理規約に従い、次の事実関係の下で行われている場合には、その修繕積立金について、その支払期日の属する年分の必要経費に算入しても差し支えないものと考えられます。
賃貸の用に供するマンションの修繕積立金の取扱い
海外への転勤の場合は要注意
管理費修繕積立金は賃貸で貸し出しても支払いを続けないとならない旨はご理解いただけているかと思います。
管理費修繕積立金は、大半の建物が口座自動引落の形になっています。
口座自動引落ということは日本国内に銀行口座を残しておかなければならないという事になります。
海外に転勤となるということは、日本の非居住者となります。
日本の非居住者となったら、それを銀行に届け出なければならないというのが通常なのです。
実際には何もしない人という方が圧倒的多数であると思われますが原則は銀行に伝えなければです。
みずほ銀行の例
例えば、みずほ銀行では出国前までに「非課税口座出国届出書」を店舗に持ってきてと書かれています。
三菱UFJ銀行の例
三菱UFJ銀行なんかでも似たような手続きを求めていたりします。こちらのページは厳密にはグローバルダイレクトの手続きについての説明ページですが。
いずれにしても、どの銀行であっても似たような手続きが存在します。
もしも、海外に行って給料が現地の銀行に送金される形の場合、海外口座から日本の管理費修繕積立金が引き落とされる口座に送金をする必要があったりはします。あらかじめ多めに入れておけば解決できる問題ではありますが、考慮しておかなければならないリスクのひとつとしてご認識いただいた方が無難と言えるでしょう。
修繕積立金と管理費の違い
順序が逆になってしまいましたが、修繕積立金と管理費の違いがどういったものであるのかをまとめました。
項目 | 修繕積立金 | 管理費 |
---|---|---|
定義 | マンションの共用部分の大規模修繕に備えて毎月積み立てるお金。 | マンション内の共同使用される施設や設備の維持管理に必要な経費。 |
目的 | 建物や共用部の長期的な修繕を実施するため。 | マンションの価値を保つための掃除や点検の費用。 |
使用される主な項目 | 壁の塗り替え、屋上の防水作業、エントランスの改修などの大規模修繕。 | 日常の清掃、設備の点検と修理、セキュリティの維持など。 |
徴収の背景 | 大規模な修繕に必要な莫大な費用を毎月小額ずつ積み立てておくことで、一度に多額の費用の負担を軽減。 | マンションの日々の運営と快適さを保つために必要な経費を賄う。 |
修繕積立金の値上げ幅に上限?
修繕積立金の増額幅に上限 分譲マンション、国交省方針 という報道がありました。
まず最初に知って多くべきことはこれは、これから新たに建築されるマンションに対して適用されるものですでにある建物に対して適用されるものではありません。
段階増額積立方式という修繕積立金の積立方式があります。簡単に言えば徐々に支払う金額が上がっていくというものですね。
うがった見方にはなりますが、新築で購入する時に「毎月の支払額」を低くみせて「賃貸と比べて毎月の支払額がこんなに安くなりますよ!」という売り方がしやすくなるためかなと感じています。
その増加率に上限をつけましょうというものです。
国土交通省の調査によると、約250事例を調べて平均の増加率は3.58倍だったとのことです。
これは新築時に修繕積立金が10,000円だったとします。それが30年後(目安)には、35,800円のになっているという計算です。
仮に修繕積立金が新築時に20,000円であれば71,600円にまで値上がっているというのが段階増額積立方式の値段差の平均値でした。
もっともこの増額倍率が高かったものの計算例もまとめた表です。
初期徴収額 | 平均増額倍率 (3.58倍) | 増額倍率が大きかった (5.3倍) |
---|---|---|
10,000円 | 35,800円 | 53,000円 |
20,000円 | 71,600円 | 106,000円 |
そのようなことに制限を設けたことになるわけです。
新築時の修繕積立金が最低額になるのであれば、最大でも1.8倍までの増減という制限に加え、購入時に安く見せるのを防ぐために基準額の60%までしか下げてはならないという規制を設けることが決まりました。
初期徴収額(基準額) | 最大増額後の上限額(1.1倍) | 最低設定可能額(0.6倍) | 最大増額額(1.8倍) |
---|---|---|---|
10,000円 | 11,000円 | 6,000円 | 18,000円 |
20,000円 | 22,000円 | 12,000円 | 36,000円 |
この説明を読んで理解できる人はとても少ないと思いますが、何かの参考にでもなりましたら幸いです。
国交省の方針では、長期修繕計画に基づき、必要となる積立金の総額を月ごとに割るなどした「基準額」の算出を求める。引き上げ額の上限は基準額の1.1倍とする。具体的には、基準額が1万円なら、段階的に引き上げても最終的な額は1.1倍の1万1千円に収まるようにする。 一方、マンションが売れるよう、当初の積立金の額を低く設定する販売業者もいる。購入時に、業者が金額を著しく低くするのを防ぐため下限も設け、基準額の0.6倍とする。購入時の金額が下限なら、増額は最大で約1.8倍となる計算。
修繕積立金の増額幅に上限 分譲マンション、国交省方針