部屋を賃貸に出そうという時、普通賃貸借契約または定期借家契約と貸出の形式を決める必要があります。首都圏の90%以上が普通賃貸借の形を取っています。(令和4年住宅市場動向調査)

普通賃貸借契約となると2年間ごとの契約というのが一般的になっています。この”2年間”という数字に何か意味があるのかな?と疑問に感じる方も少なくないかと思い調査をしました。

結論

結論からお伝えすると深い意味はないと断言できます。ネットで調べてもしっかりとした根拠にたどり着くことはできないでしょう。昔ながらの慣習以外の特別な意味合いはないと言えるでしょう。

ただ、これだけで終わるわけには行かないので、それなりに何か”2年”になった経緯がないのかなと私なりに調べて、”特に根拠がない”と断言至ったまでに調べた情報をお伝えします。特段役に立つ情報というよりも、ちょっとした雑学程度にご活用ください。

契約期間は2年間にしておいた方がよい

普通賃貸借の契約期間が2年間である事に特段根拠がないと断言をしましたが、不動産の賃貸借契約においては2年間に設定をすることを推奨します。なぜなら、賃貸借に付帯する入居者が加入する周辺のサービスが基本的に2年間の契約を前提に設計されているためです。

例えば、火災保険や保証会社、24時間駆けつけサービス系などが2年間が基本になって設計されていたりします。契約期間を変えようというのであれば、そういった周辺サービスまですべて組み直さなければならないので、まだまだこの慣習は継続するであろうなと感じます。

賃貸借契約の1年は短すぎる

これはどのサイトにおいても説明されている事です。賃貸借の契約期間を1年未満とすると”期間の定めがない建物の賃貸借”とみなされてしまいます。

つまり契約期間を1年未満にすると、それはエンドレスな賃貸借契約となってしまいます。そのため、1年以上にするというのは立派な根拠があります。

3年が長すぎるに根拠はない

そこから、どこを見ても「3年が長すぎるから間をとった2年にするのが根付いた」という説明ばかりになります。風が吹けば桶屋が儲かるほどではないにしても、「1年が短すぎて、3年は長すぎて2年にしました」という構成はあまりにも強引すぎるなと感じるのは私だけではないでしょう。

大学生を基準にしている?

はじめてひとり暮らしとか賃貸を考えるのは大学生の頃であるという方は少なくないでしょう。その大学生のライフシクルに合わせて2年が基準になったという説をみかけました。大学は4年通うから、3年契約であると中途半端になると。2年後に見直しをすることで4年生や校舎が変わるのに柔軟に対応できるようにと、それがいつの間にか2年周期が根付いたという説がありましたが、正直あまりしっくりは来ないです。

転勤の周期

社会人になると転勤があり、転勤の周期が2年が多いという説も見かけたので調べてみました。下記は1回の転勤の赴任期間に関する調査結果になります。国内と国外の場合の調査結果がありましたが、大きな差はなかったので、国内転勤のみの数字です。

転勤の期間についての調査

3年程度が圧倒的に多かったです。ついで5年程度が多く、”2年程度が多い”と言える調査結果とはなりませんでした。もっとも、普通賃貸借契約の期間が”2年”が一般的となった時期は転勤の周期が2年周期が多かったという可能性は残っています。

初めての転勤までの期間?

就職して一人暮らしをして、異動するまでの期間が2年間が多いという仮説も経ちます。

入社後何年目から転勤を命じられることが多いのか?

新卒の方々が会社に入社して何年目で転勤を命じられることが多いのか?という調査結果です。3年目、4年目が圧倒的に多いようで、やはりこちらでも”2年周期”というのが当てはまらないです。

減価償却基準?

下記のようなグラフを見たことあるかと思います。

賃貸借契約の原状回復のガイドラインの”設備等の経過年数と借主負担割合”を表しているグラフです。

経過年数による減価割合については、法人税法等による減価償却資産の考え方を目安としています。経過年すで減価償却するのではなく、入居年数で減価償却するという考え方です。

これが「2年周期だと計算しやすかったりするのか?」という仮説を検証してみました。6年と8年なので、確かに偶数であるのが好ましいのかもしれませんが、それを根拠に2年周期の根拠となりえないというのは明らかでしょう。

2年毎に引っ越す人は6%

これは2年ごとに更新がある現在の賃貸市場なので、根拠探しとして使うデータではなく参考としての数字になります。賃貸住宅に何年間住んでいるのか?というアンケートです。

「これまでご自身で賃貸住宅を借りた年数についてお答えください。」

2年ごとに引っ越しをする人は6%程度で。。。4年以内に引っ越す人の11%を加えてもせいぜい15%程度というアンケート結果でした。

普通賃貸借の契約期間が2年間であることの根拠が「人のライフサイクルにあっている」というのは現代においてまったく根拠のないことは明らかであることに異論はないでしょう。

不動産業界にとって都合がいいだけ

結局変化を好まない不動産業界と不動産業界の周辺が昔ながらの慣習をなんとなく続けているだけのものであるなというのを改めて感じました。

「更新」というきっかけをなるべく多く作ることで、引っ越しをする可能性が高くなるので日本社会全体の経済までも考慮すると”2年間”という期間は確かにちょうどよいと言えるかもしれません。

ただ、その数字は入居者にも、オーナーさんにも寄り添ったものではないなと不動産業界にいる人間として少し寂しく感じました。

特段何も役に立たないただの雑学的な話になってしまいましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。