令和5年分の確定申告作成コーナーが公開されました。確定申告の時期だからこそ税金に向き合うことができるかなと、不動産経営においての”経費”や”節税”という魔法の言葉に対する誤解を伝えています。

不動産オーナーにとって「経費」は魔法ではない

テレビドラマや漫画で、サラリーマンが上司や経理の方に領収書を渡して「経費で落ちる」と言われれば大喜びをして、「経費で落ちません」と言われるとがっかりするシーンを見たことがある事でしょう。

そういった影響が大きいのか、”経費”=”正義”のような雰囲気を日本の組織内にある気がします。

このような勘違いが起こるのは”雇用されている人”であるのか”個人事業主”であるのかの違いがあるためでしょう。

雇用されている人、いわゆるサラリーマンが例えば接待をした飲食代を立替払いをしたとします。経費で落ちれば、会社が払ってくれることになるので、会社に奢ってもらったという図式になります。

もしも、その飲食代が経費で落ちなかった場合は”自腹”となるので、サラリーマンにとっては、経費で落ちるのか落ちないのかは大きな違いで、「経費で落ちる」という言葉をもらった瞬間にまるで魔法の言葉かのように歓喜の渦が湧きます。

一方、個人事業主にとっては、経費となろうがなるまいがすべて自分で支払うお金です。

賃貸物件の大家さんは法人を設立していない限り個人事業主と同じになります。

もちろん、個人事業主であっても確定申告の時期には必死に領収書を探し出して、「これは経費にしていいんか!!」と必死になります。ただ、この時の”経費”という言葉と「経費で落ちる!」というサラリーマンが使う”経費”という言葉は意味合いが異なったものになります。

経費を使う流れが逆になっている

通常であれば、「打ち合わせが必要だから賃貸管理会社の担当と食事をした」というのが、不動産オーナーさんの自然なお金の使い方です。

この矢印が、経費を使う事を意識しすぎて、逆になってしまうという事が多々あります。

「税金を減らすために経費を使いたいから賃貸の管理会社と食事をした」といった流れになってしまっているのです。

「経費で落ちる」事が経営の正義の魔法の言葉のようになっているためか、普段の生活で「1円でも安いところで食材を買う」という事をしているのに、「もっと経費を使わなければ」と浪費をしているという状況になっている方が本当に多いので、

節税と経費の誤解

「税金が高いからもっと経費を使わないと。。。」という言葉もよく耳にします。

確かに経費をたくさん計上することで、利益が減るので支払うべき税金は減ります。ただ、これも「賃貸経営の健全性」を目的をすべきなのに、「税金を減らすために無駄な経費を使う」と目的が変わってしまっている事が多々あります。

賃貸経営のために必要な経費、例えば、物件の修繕や管理、広告宣伝費などは事業の維持・成長に必要な支出なので、適切に計上されるべきです。

一方で、事業と無関係な支出を無理に経費として計上したり、節税のためにと本来支出する必要のない経費を計上したりすることは、税務上の問題を引き起こすだけでなく、結果的に賃貸経営において損をしてしまっていたという事も大いにありえます。

不動産オーナーとして”節税”を考える際には、経費を増やすことだけに注目するのではなく、全体的な事業運営の効率化と資産価値の向上に焦点を当てるべきです。

節税だけを目的とした行動は、時に事業の基盤を弱める結果を招くことがあります。例えば、不必要な修繕や改装を経費として計上することは、短期的には税金を減らすかもしれませんが、長期的には資金の無駄遣いにつながります。

節税を前面に出している不動産会社に注意

「節税」という甘い謳い文句は、皮肉なことに、多くの不動産大家さんを集客するための効果的な手段となっています。この言葉は、まるで魔法のように聞こえ、特に税金に対する懸念を持つ投資家にとっては、非常に魅力的に映ります。

一部の不動産会社は、節税効果過大に宣伝することがありますが、そういった言葉を前面に出している不動産会社には注意が必要です。

節税だけを追求することで、これらのリスクを見落とし、本来の目的を見失い、結果的に大きな損失を被る可能性があるためです。

不動産経営においての本来の目的は、安定した収益の確保と資産価値の長期的な向上にあるはずです。

節税は、これらの目的をサポートする一つの要素に過ぎず、不動産経営戦略の全体の中でバランスよく考慮されるべきです。

相続税では節税効果は確かにあった

余談ではありますが、不動産投資によって相続税に対しての節税効果は間違いなくありました。ただ、その相続税対策としても国税庁からストップがかかりました。これは令和6年1月1日からの施行なので、今後どのようになるのかは、まだ未知の部分が多いですが、相続税対策としての効果が大きく薄くなるというのは間違いないでしょう。

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まとめ

節税は主要な動機や目的になるべきではありません。不動産オーナーとしては、節税の利点を理解しつつも、それを全体的な経営戦略の一部として組み込むことが重要です。

節税は有益な戦略であることは間違いありませんが、それは賢明な投資判断の一部であり、不動産経営の全体的な目的を見失わないようにしましょう。

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