5月1日に”持続化給付金”の受付が開始されました。

新型コロナウィルスでの経済面での影響を必要最小限にしようと、117兆円の補正予算が成立し、中小規模の事業者にとっては、コロナウィルスの経済対策としてもっとも注目度の高かったものでしょう。

個人事業主であれば「100万円もらえるのか!!」

中小規模の法人であれば「200万円もらえるのか!!」と心を踊らせた方は少なくないでしょう。

それが不動産の収入関係での適用もあるのかどうか?というのが気になるところであったかと思います。

結論としまして、持続化給付金が適用される要件はかなり広範であったにもかかわらず、不動産収入が減少したという方々には適用されないというものでした。

個人事業主の不動産オーナーは100万円の持続化給付金をもらえないのか?

100万円または200万円の件はかなり早い段階から知られていました。

一方、それらを受給するための”要件”についての詳細は小出しにされていました。

小出しになっていた条件の中で、私達不動産業界に見を委ねている人たちが、気にしていたのが、不動産収入で生活を維持している個人大家さん達にも適用されるのか?されないのか?という点でした。

株式会社いえどきでも252戸の賃貸物件を預かっています。

そのオーナーさんの大半が個人オーナーであり、特に店舗を賃貸に出している方々から早い段階から相談を多々受けておりました。

持続化給付金の途中経過のような速報情報では、税務や会計の世界に見を置く有識者たちの間では「個人の不動産収入減少があった人に持続化給付金の支給が適用されないというのは間違いであろう」という声が大半でした。

その理由としましては、法人であれば「不動産収入」の減少が前年比50%以上であれば適用されるのに、個人だとそれが適用されないという事はないのではないか?という声が大半でした。

蓋をあけてみれば個人だけが持続化給付金の対象外

5月1日に実際に受付が開始されて、持続化給付金の全容がほぼ明らかになった結果は

やはり、不動産収入は持続化給付金の100万円の対象外である事が明らかとなりました。

サラリーマンをやりながら個人で不動産を保有されていて、不動産収入を得られている方々で適用される可能性というのは限りなく低いことでしょう。

「ここだけ見ればいい!」持続化給付金の対象になるのかどうかの見極めポイント

コロナウィルスの影響で経済活動が停滞してしまわないように様々な支援のために政府は動いてくれています。

今までにないくらいの速さで、物事が決まり、決まったこともコロコロと変化しています。(いい方向の変化が多いと感じています)

いろいろな支援をしてくれているにもかかわらず。。。何がなんだか逆にわからなくなってしまっているという人も少なくないでしょう。

その原因のひとつとして、「名前が難しい」というのがあるでしょう。

今回伝えているのはあくまでも「持続化給付金」についてになります。

持続化給付金の対象となるのかどうか?

持続化給付金を一言で説明しろと言われてもなかなか説明できるものではありません。

様々な前提条件が出てしまうためです。

個人事業主であればご自身が確定申告を行なっているのかどうか思い返してみてください。

不動産の収入があろうとなかろうと確定申告をそもそもしていないということであれば、この持続化給付金という制度は全く無縁のものとなります。

確定申告書の見る場所は一箇所だけ!

今回の持続化給付金に関係あるのかどうかを見るのは、確定申告書の1番左上の数字だけをみます。

確定申告書には様々な数字が書き込まれているのですが、左上だけをみます。

また、不動産収入は確定申告書のここに記載されるという画像の例も併せて載せますので参照ください。

画像は国税庁のものをお借りしています。

確定申告書の売上欄

持続化給付金の適用があるのかどうかはこの欄のみがポイントとなります。

確定申告書の不動産所得の欄

持続化給付金の対象とはならない不動産の所得欄です。

持続化っ給付金の前年比50%減とは?

持続化給付金の話で100万円、200万円というのはよく聞くかと思いますが、その他にも前年比の売上が50%減なのかどうかというのも要件のひとつでした。

この50%減は何を基準にするのか?という問題です。

青色申告のメリットを享受できる

この50%減については、青色申告なのか、白色申告なのかで大きく異なります。

白色申告であれば。。。例えば、上記の国税庁の確定申告書を例に説明します。

2019年の売上が約4000万円あったという確定申告書です。

4000万円を12ヶ月で割ると、一月あたりの売上は約333万円となります。

これが、例えば2020年4月の売上が約160万円であれば4月は50%減として捉えてもらうことができます。

白色申告の場合ですと、この考え方しかすることができません。

実際に受給できる金額については、かなり細かな計算になるので割愛します。

青色申告だと月を選ぶことができる

「平均をだすだけ」の白色申告とはかわり、青色申告は「毎月の売上」という観点になります。

例えば白色申告の場合、2020年4月の売上が仮に200万円あった場合、平均の333万円の50%減となっていないので、そもそも持続化給付金を受給する資格すら与えてもらえません。

それが、月ごとで考慮する事ができるんです。

年間4000万円の売上が下記のような内訳だったとします。

  1. 300万円
  2. 400万円
  3. 200万円
  4. 500万円
  5. 200万円
  6. 200万円
  7. 400万円
  8. 500万円
  9. 400万円
  10. 500万円
  11. 400万円
  12. 400万円

上記の2019年の4月の売上は500万円でした。

2020年の4月の売上が200万円ですと、500万円の50%減となっているので、持続化給付金を使うことができるという形になるわけです。

このように白色申告では適用がされなかったものも、青色申告なら適用されたという形になりました。

特に不動産賃貸収入がある方であれば、入居者がいる月と入居者がいない月であれば、この50%減というものが大きく出るので活用しやすい制度であったという事が想像できるのではないかと思います。

さらには、持続化給付金は2020年12月までの期間で考えてくれます。

これは、現時点では50%減の月がなかったとしても、それまでにどこか前年比50%減の月が生じればそこで持続化給付金を使うことができる形にもなっています。

残念なことに今回の持続化給付金では、個人事業主の不動産収入が適用されないこととなってしまいましたが。。。

今後、今まで何も考えずに白色申告にて確定申告を行なってきた方々はこれを機に青色申告に切り替えるということを検討してもよいのではないかと感じるほどの差が今回の持続化給付金ではありました。

法人は別

100万円か200万円かの上限が200万円の方が法人です。

不動産の収入が持続化給付金の対象にならないというのは、あくまでも”個人事業主”の場合の話になります。

法人であれば賃料収入減も売上減となり、適用されます。

法人の規模は中小規模に限ります。

しいて、注意すべき点としては2019年に設立したばかりでまだ決算を迎えていないという法人があった場合などです。

細かい事を書くと長くなりすぎてしまうのですが、かなり入り口を広げてくれているという印象を強く持っています。

まとめ

持続化給付金は個人で不動産の収入を受けている方にとってよいことは何もないというものになってしまいました。

このまま不動産を保有していればいいのかと指を加えているだけではなく、今後またこのような事態になったときにどれだけリスクを回避することができるのか、そのためにどのような方法があるのか?について再考するよい機会になったと考えるのがよいでしょう。

持続化給付金では結果お役に立つことはできませんでした。

が、現実問題としては、入居者が退去して賃料収入への不安を抱えている方からの相談はあとを絶ちません。

特に飲食店舗を貸していたオーナーさんに多いのは伝えるまでもないでしょう。

そんな方々には日本政策金融公庫の新型コロナウイルス感染症特別貸付 を推奨しています。

そのお手伝いをしているので、今後の賃料収入に不安を抱えているというのであれば一人で悩まずにまずはお気軽にご相談ください。

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