夫婦が共有で自宅の不動産の名義になっているということは少なくありません。そんな共有で購入した不動産があるにも関わらず突然転勤が決まり賃貸に出そうかどうかを悩まれている時に、「賃料はどっちが受け取ればいいんだろう?」「税金はどうするんだろう?」「贈与税とかかるのかな?」といったことに疑問を感じる方が少なくありません。

共有不動産の場合の契約者はどのようになるのかや、税金についてどのようになるのか?についてお伝えします。

共有不動産の賃貸収入と税金

共有不動産を賃貸に出した場合、収入はどのように分配され、税金はどのように計算されるのでしょうか?さらに、多くの方が懸念する贈与税については、実際にどのような条件で課税されるのでしょうか?これらの疑問を解決するためには、共有不動産の賃貸収入と税金についての基本的な理解が必要です。

賃料は代表者がまとめて受領

まず、共有不動産の賃貸収入は、共有者各自の持分に応じて配分されるべきものです。

しかし、実際の賃貸の現場では、収入を一人が受け取り、後から分配することが一般的です。最初から共有者にそれぞれ賃料をわけて送金する形を想定していない形になっているというのが現状です。

後から分配するのは、オーナーさんそれぞれに行ってもらう形になっております。この分配をどのようにするのかは大切なポイントになります。

賃料の分配に関与しない不動産屋

共有者間で賃料の受け取り方をどう決めるか、そしてその収入にかかる税金をどのように計算し、申告するかは、共有不動産を賃貸に出す際の最も重要なポイントの一つであるにも関わらず不動産屋さんはそこに関与することはほとんどありません。後にくるであろう税務上の問題を避けるために最も重要な事であるにも関わらずです。

余談ですが、こんな不動産屋の営業は選ばない方がよいという事についてお伝えします。

「税金については専門じゃないので税理士さんに聞いて下さい。」というのが大半の営業の言い分です。が、それくらいの事は即答できるような営業でなければ、大切な資産を預けるに値しない不動産屋さんであるという判断をして問題ないでしょう。

質問をする度に「確認します!」といった類の回答をする営業の人間は、知識を身に着けていくという姿勢が足りてない人なので、それらの言葉を使った瞬間にそれ以上その営業から得られる有益な情報はないと判断して問題ないといえます。

契約書にはそれぞれが署名捺印する

「賃料を受け取るのは代表者が」とお伝えしました。だからといって、契約者としてその代表で賃料を受け取る人のみが署名捺印すればよいわけではありません。共有者それぞれが署名捺印するというのが好ましいです。

賃料の分配は持分に応じて

例えば共有不動産が賃料20万円で共有持分が夫婦で2分の1ずつだとします。

この場合、持分に応じた賃料、つまり賃料が20万円であれば10万円を代表となって賃料を受け取ることになった人が、もうひとりに渡すべきです。

持分が代表者が4/5、もう一人が1/5という形であれば、40,000円のみを送金するという形が望ましいです。

税務申告はそれぞれが行う

税金の申告は各自が持分に応じて行う必要があります。つまり、賃貸から得られる収入に対しては、共有者一人ひとりが個別に確定申告をする必要があります。

その時に、不動産所得の確定申告は共有であることを前提として作られていませんのでとまどうかもおちう作りにはなっています。

共有不動産の賃貸の贈与税は?

贈与税の問題についても、実は多くの方が抱える疑問や不安を感じる方がいます。

賃料が20万円で親子で持分2分の1ずつという事例にします。代表して賃料を受け取るのがお父さんだとします。そうすると、毎月お子さんに10万円の送金をしている形になります。これが贈与税に当たるのではないかという不安を感じられる方が少なくありません。説明が複雑になるので、年間110万円の暦年贈与については考慮しないで続けます。

結論をお伝えすると、契約書に各々が署名捺印しており、賃料を適切に送金していて、それぞれが確定申告を適切に行なっていれば贈与税については全く心配をする必要がなくなります。

税務署から「このお金の動きはなに?」と聞かれた時に、そのお金の流れを説明すればよいので。

賃借人側の共有と贈与税

極稀に贈与税の問題で賃借人側でも心配される方が少なくありません。

賃借人側は、2人で入居する場合は貸主側と異なり2人が署名捺印をする欄を設けてくれる不動産屋さんは皆無と言えます。賃借人2人の収入をあわせての審査を受け付けてくれることすら希少おちう世界です。

賃貸借契約書は貸主側を基準として作成されるので致し方のないことではありますが。。。

2人が入居する場合で、それぞれが賃料を半分ずつ払うと決めているのに、賃料を支払うのが代表者の一人になるという点は貸主側と同じになります。

半分ずつという事になるので、2人の間で資金の動きが発生します。

そのお金の動きが贈与税になるのではないか?ということなのですが、2人が本当にそこに居住しているという実態があれば、贈与税にはなりません。

この時に何か書類に残るのかどうかといえば、どこにも残りません。しいて言うのであれば住民票とかにそれが出るかどうかですかね。ただ、税務上の生活の実態と住民票は必ずしも一致しないので、必ずしもそこれが判断基準になるわけではないです。

まとめ

まとめると、共有不動産を賃貸に出すことは、多くの場合、税務上の複雑さを伴います。しかし、正しい情報と適切なアドバイスを得ることで、これらの課題は解決できます。

賃貸の現場と税金の扱いにはズレがあるかもしれませんが、そのズレを理解し、適切に対処することで、安心して自宅を貸し出すことが可能です。

重要なのは、不安や疑問を持ったまま進むのではなく、信頼できる専門家と相談しながら、一歩ずつ確実に前進していくことです。この記事が、そんなあなたの一助となれば幸いです。