晴海フラッグ——

分譲時には“抽選倍率266倍”という社会現象を巻き起こしたこの巨大マンション群。その後も、「空室が増えている」「賃貸はどうなった?」「外国人だらけ」「違法民泊だらけ」など、今なお話題が尽きません。

「自分の部屋は、今貸したらいくらが妥当?」

「賃料はどうやって決めるの?」

「高く設定しすぎて借り手がつかないのは不安だし、安くしすぎて損をするのも避けたい…」

多くのオーナー・購入者が頭を悩ませるのが、この“賃料査定”の部分です。

実際、不動産会社が査定時に重視するのは、単なる周辺相場だけではありません。同じ晴海フラッグでも街区(ビレッジ)・棟・階数・方角・間取り、さらには契約形態(定期借家か普通借家か)まで、細かな条件ごとに“値付けの基準”があります。

この記事では、プロが晴海フラッグの賃料査定で重視している視点や実際の成約データをもとに、「どの部屋がいくらで貸せるのか」を徹底解説します。

情報が散逸していてよく分からない――そんな不安から解放され、**“根拠ある判断材料”**を持って賃料設定をしたい方は、ぜひご一読ください。

調査対象件数

どのデータを使っての調査なのか?

分析に活用するデータは国土交通省の「不動産取引価格情報」でも公式に活用されている、指定流通機構REINS(レインズ)の成約事例データを使っています。日本で一番、公的かつ信頼性の高いマーケット情報と呼んでも業界関係者から異論が出ないデータを用いています。

街区ごとのデータ

単純比較とならないために

晴海フラッグは、そのスケールだけでなく、街区(ビレッジ)ごとにコンセプト、テーマが明確に分かれています。

全体は大きく以下の4つの街区で構成されています。

  • PARK VILLAGE(パークヴィレッジ/6街区):分譲棟
  • SUN VILLAGE(サンヴィレッジ/5街区):分譲棟
  • SEA VILLAGE(シーヴィレッジ/4街区):分譲棟
  • PORT VILLAGE(ポートヴィレッジ/3街区):賃貸棟

このうち、PORT VILLAGEは最初から賃貸専用として設計・運営されている街区であり、三井不動産・東急住宅リースが管理する「賃貸専用」の集合住宅です。

今回の記事では、この4つの街区のうち「分譲棟」(PARK VILLAGE・SUN VILLAGE・SEA VILLAGE)に限定した成約データ(179件)だけを分析対象としています。

  • PARK VILLAGE:65件
  • SUN VILLAGE:63件
  • SEA VILLAGE:47件

晴海フラッグの街区ごとの平米単価データ

単純に「高い」「低い」ではなく賃料査定のために"平米単価"を用いています。

晴海フラッグの分譲棟について、街区ごとにどれくらい成約賃料の差があるのかを「平米単価ベース」で比較しました。グラフを見ることで、どの街区の賃料をどのように設定すればいいのか?というの “相場レンジの違い”がひと目で分かります。

  • PARK VILLAGE(65件):平均4,123円/㎡、中央値4,005円/㎡、最頻値3,667円/㎡
  • SUN VILLAGE(55件):平均4,111円/㎡、中央値4,091円/㎡、最頻値3,621円/㎡
  • SEA VILLAGE(46件):平均4,726円/㎡、中央値4,685円/㎡、最頻値4,777円/㎡

PARK VILLAGEとSUN VILLAGEは平均・中央値ともにほぼ同水準となっており、

一方でSEA VILLAGEは他の2街区よりも500〜600円/㎡ほど高い相場となっています。

SEA VILLAGEは「眺望や湾岸立地」を重視する入居者から特に人気が高く、成約単価も比較的高止まりする傾向が見られます。



街区・間取りの件数分布

間取りごとの違いも見てみましょう

このグラフは、各街区(PARK VILLAGE・SEA VILLAGE・SUN VILLAGE)で「どの間取りタイプの成約が多かったか」を件数ベースで比較したものです。

実際に成約された間取りの“供給ボリューム”がわかります。

間取り PARK VILLAGE SEA VILLAGE SUN VILLAGE
1LDK 1 0 2
2LDK 11 6 17
3DK 0 0 1
3LDK 50 29 40
3SLDK 2 0 0
4LDK 1 11 3
4SLDK 0 1 0

成約件数が最も多いのはひとめでわかるとおりどの街区でも3LDKでした。

晴海フラッグは「駅から遠い」「賃料が高いから誰も借りない」などと揶揄されることもありますが、

都心エリアで“ファミリー向けの3LDK以上”の賃貸物件は非常に希少です。

子育て世代・ファミリー層には「広さも部屋数も確保できる晴海フラッグ」はとても魅力的な選択肢でした。

街区ごとの間取り別平米単価

街区との違いも大切な要素

各街区ごとに、間取りごとの平均平米単価を比較しました。

間取りPARK VILLAGESEA VILLAGESUN VILLAGE
1LDK3,9804,101
2LDK4,0794,6774,119
3LDK4,1514,6394,411
4LDK4,0059,1665,200
  • 2LDK・3LDKはどの街区も4,000〜4,600円/㎡程度で大きな差はありません。
  • SEA VILLAGEの4LDKは平均9,000円超と突出しており、特別な事例(高層・眺望など)が含まれている可能性が高いと感じています。
  • 1LDKや4LDKは件数が少なく、平均値の信頼性は低めですが、2LDK・3LDKが“主力”であることがはっきり分かります。

部屋の広さは?間取りごとの面積分布

この箱ひげ図は、「間取り」ごとに、各街区(PARK VILLAGE・SEA VILLAGE・SUN VILLAGE)で募集・成約された部屋の面積分布を示しています。

箱=標準的な面積帯/線=最大・最小の範囲/中央線=中央値/点=外れ値を表し、「3LDKなら何㎡くらいが多いのか」「街区ごとに面積感が違うのか」がひと目で分かります。

間取りPARK VILLAGESEA VILLAGESUN VILLAGE
1LDK45.546.8
2LDK61.963.162.2
3LDK74.376.574.0
4LDK91.294.593.0
  • 3LDKや2LDKはどの街区も「ほぼ同じ広さ」で標準化されている(3LDK=74〜76㎡前後が中心)
  • 4LDKは90㎡超が多数
  • SEA VILLAGEの4LDKは“特別広い”部屋があった
  • 1LDKはサンプルが少ないため中央値・分布の信頼性は低いが、他の間取りは「晴海フラッグの基準値」と言える

一般的な4LDKは90〜100㎡です。

SEA VILLAGEの4LDKでは、「面積127.51㎡・賃料69万円」「115.14㎡・賃料55万円」といった特別に広く、かつ高額な部屋の成約記録もありました。

大型住戸は、希少性が高いので晴海フラッグの成約賃料の平均単価を押し上げる要因となっています。

どれくらいで入居者は決まるのか?

間取り・街区ごとの成約までの日数

この箱ひげ図とtableは、街区・間取りごとに「成約までの日数(=空室期間)」の分布や中央値・平均値を比較したものです。

「3LDKはどれくらいの期間で決まるのか」「2LDKは他と比べて流動性が高いか」など、実際の決まりやすさの傾向がひと目で分かります。

  • 2LDK・3LDKなど主力の間取りは「50〜100日(約2〜3ヶ月)」で成約するケースが多い
  • PARK VILLAGEの4LDKやSEA VILLAGEの4SLDKなどは「200日超」という超長期空室も発生
  • 1LDKや3DKはサンプル数が少ないが、成約までの日数が非常に短い(最短18日)
  • 「必ずしも“新しい・広い部屋ほどすぐ決まる”とは限らず、4LDKや大型部屋は長期戦になりやすい」

定期借家か?普通借家か?

契約形態の割合

まずはm「普通借家」と「定期借家」、2つの契約形態の件数を見てみます。

今回分析で使ったものは、定期借家権 94 件 普通借家 85件でした。

定期借家は約15%割安

普通借家と定期借家の平米単価を比較

成約事例を「普通借家」「定期借家」の契約形態ごとに分けて、平米単価の平均値・中央値・件数を比較してみました。

建物賃貸借区分件数平均平米単価(円)中央値(円)
普通借家854,994.74,413.9
定期借家権944,274.54,150.4

今回の分析結果では、普通借家の平均平米単価は4,995円、定期借家は4,274円となり、定期借家のほうが普通借家よりも約15%安い水準で成約していることが分かりました。

中央値で見ても同じ傾向があり、定期借家が4,150円、普通借家が4,414円と、明確な価格差が確認できました。

“決まりやすさ”の比較

普通借家vs定期借家

契約形態ごとに「成約までの日数」(空室期間)の平均値・中央値・件数を比較してみました。

建物賃貸借区分件数平均日数中央値(日)
定期借家権9477.152.0
普通借家8581.269.0

結論をお伝えすると、晴海フラッグにおきましては、「定期借家にしたから決まりにくい」という結果にはなりませんでした。

  • 成約までの日数は「普通借家」「定期借家」いずれも平均80日ほどで、大きな差はありませんでした。
  • 中央値では、定期借家が「52日」、普通借家が「69日」と、定期借家の方がやや早く決まる傾向が見られます。
  • ただし、全体的に「2ヶ月〜3ヶ月弱」程度は決まるまでにかかるのが標準的な目安となります。

階数で賃料差はどれくらい変わるのか?

階数ごとの平均平米単価

晴海フラッグ分譲棟の3階~18階の成約データをもとに、所在階ごとの平均平米単価(円/㎡)をまとめました。

所在階平均平米単価(円/㎡)
3階3,957円
4階4,177円
5階4,222円
6階4,204円
7階4,288円
8階4,587円
9階4,391円
10階4,325円
11階4,281円
12階4,315円
13階4,619円
14階4,567円
15階4,336円
16階4,550円
17階4,005円
18階4,512円

おおむね4,000~4,600円/㎡の範囲で安定しており、「高層階ほど必ず賃料が高い」という単純な傾向ではありませんでした。つまり、階数による絶対的な価格差があるわけではなく、それぞれの階層ごとに賃料相場は大きな差はなかったという結果でした。

南向きがやはり賃料高くなるのか?

向きごとの平均平米単価

方角が賃料にどれくらいの影響を与えるのか?というのを知るために、それぞれの方角ごとの平均平米単価を見てみました。建物の位置も重要なので街区ごとにわけています。

方角PARK VILLAGESEA VILLAGESUN VILLAGE
3,951円4,123円
4,221円5,859円4,418円
4,103円6,058円4,148円
西4,147円4,834円4,583円

PARK VILLAGEとSUN VILLAGEでは、南向き・西向き・東向きの部屋がいずれも4,000円台前半から中盤に集中しています。一方で、SEA VILLAGEは南向きや東向きの部屋で5,800円~6,000円台と、他の街区より大幅に高い水準となっているのが特徴です。「北向き」は全体的にやや安くなる傾向があり、特にSEA VILLAGEでは北向きのデータがありません。

特にSEA VILLAGEの南向きや東向きは、眺望や日照、希少性の高さが評価されて、相場より1,500円前後高く成約する例も見られます。

駐車場付きはどれくらい“高く貸せる”?

「駐車場付き」vs「駐車場なし」

「駐車場付き」と「駐車場なし」の部屋それぞれで平均平米単価を比較しました。

駐車場在否件数平均平米単価(円/㎡)中央値(円/㎡)
505,533円4,601円
1294,261円4,130円

東京湾岸エリアでは、「賃貸ではそもそも駐車場付き住戸が少ない」という事情があります。

近隣マンションでも“空き待ち”が当たり前というほど駐車場の需要が高まる中、晴海フラッグのように「駐車場付きの部屋がしっかり確保できる」というのは、大きなアドバンテージです。

実際の成約データから、駐車場付き住戸は「駐車場なし」に比べて平均で約1,300円/㎡も高い賃料水準となっています。

これは「駐車場の付加価値」が、しっかりと家賃にも反映されていることの証拠です。

まとめ

「晴海フラッグのどの部屋がいくらで貸せる?」に本音で答えます。

晴海フラッグは分譲時の熱狂的な人気に加え、現在も空室問題や賃貸事情などで注目が絶えません。

本記事では、「REINS(レインズ)」の成約データという公的かつ信頼できる実データを徹底分析し、最新の相場観や成約傾向をまとめました。

街区ごとの成約単価や部屋タイプごとの件数分布、広さ・面積帯、成約までにかかる日数や契約形態(普通借家/定期借家)の違いなど、リアルなマーケットの“今”がわかるようにまとめました。

これから賃貸に出そうか迷っているあなたへ。

どんなに情報があふれる時代でも、実際の成約データを徹底的に分析した“本当の数字”こそが、あなたの大切な資産を最大限に活かすための一番の材料だと私たちは考えています。

私たちは、晴海フラッグに関する成約事例や相場情報を細部まで集め、リアルなデータから“納得できる賃料水準”を導き出しています。

「ここまで細かく分析しているのか」と感じていただけるはずです。

数字の裏付けをもとに、あなたの不安や迷いに一緒に向き合い、最適なご提案をすることができます。

少しでも「どうしようかな…」と感じたら、どうぞお気軽にご相談ください。

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