不動産業界の“当たり前”が、納得できなかった

私が業界に飛び込んだ当時、不動産会社では売上や効率が最優先され、お客様の期待に誠実に応える姿勢が薄いと感じる場面が多くありました。 「契約決まるまで帰って来るな!」――不動産業界に入って最初の上司から言われたこのひと言が、私にとって起業への道を切り開く転機になったのです。 明らかにお客様に合わないサービスの提案を指示され、納得できず正直に想いを伝えた結果、契約は成立しませんでした。報告をした私は激しい叱責を受けます。 上司から「契約が決まるまで帰って来るな」と言われたその夜、公園のベンチで夜遅くまで考え込みました。「この業界は本当にこれでいいのか」「お客様に真に役立つサービスを届けるために必要なことは何か」。 すると今度は「なんで帰ってこないんだ、早く帰ってこい!」と、またしても怒鳴られ……今となっては笑い話ですが、当時はこの矛盾を痛感していました。

この経験を通じて、不動産業界の古い体質が、お客様はもちろん、現場の営業マンにも大きな負担を強いていると痛感したのです。人々の生活の根幹を支える仕事でありながら、売上優先のやり方がまかり通っている――そんな“当たり前”を変えない限り、お客様に本当に価値ある提案は届かない。 そう強く思ったことが、私が「iedoki」を立ち上げる原動力となりました。

「できるわけがない」から「必要とされる会社」へ

仲介事業を基盤としながら、管理事業で新たな扉を開く。これが「iedoki」起業当初の大きな挑戦でした。 不動産業では仲介事業が主流とされている中で、私たちは管理事業で始めた「月額管理料無料」というプランを掲げ、業界の慣習に真っ向から挑みました。 当然ながら、「そんなのうまくいくわけがない」「余計なことをするな」という声を同業者から浴び、顧客からは「本当に無料で大丈夫なの?」と疑念を持たれ、さらには社内の仲介事業部からも懐疑的な視線を向けられました。

創業1年目、新規で受注できた管理戸数はわずか5件。それでも目先の利益ではなく、オーナー様それぞれの課題に向き合い、収益性や運営の不安を解消することに全力を注ぎました。 すると少しずつ紹介や新たな依頼が増えはじめ、信頼の輪が広がっていったのです。管理事業は数件から数十件、そして数百件へと軌道に乗り、結果的に「まず価値を与える」という私たちの理念が多くのオーナー様に認められるようになりました。

6年目の今年、管理戸および媒介件数は1,000戸を超えるまでになり、私たちが挑んできた新しいサービスのあり方が、ひとつの成果として実を結んでいるのを感じています。

挑戦はまだ終わらない。新たな価値を届け続ける

これまでiedokiが道を切り拓いてこれたのは、「未来を変えたい」という想いに共鳴し、挑戦を支えてくれた社員たちのおかげです。 社員の中から行政書士の合格者が生まれたことで、私たちのサービス領域はさらに拡大しました。不動産管理や賃貸仲介にとどまらず、不動産売買や相続にまつわる問題にもワンストップで対応できる体制を整えることができるようになりました。 社会貢献事業にも積極的に取り組んでおり、相続が原因となる空き家問題に対して具体的な解決策を提案。iedokiは「人々の暮らしに必要とされる企業」であり続けるために、これからも挑戦を続けます。

お客様の暮らしを支え、未来をともに創るパートナーとして、新たな価値を追求し続ける。そして、その価値を多くの方々に届け、信頼の輪を広げながら、より豊かな暮らしを実現する企業でありたい。 私たちは、これからも『まず価値を与える』という姿勢を貫き、お客様一人ひとりに寄り添いながら、不動産業界の“当たり前”を変え続けてまいります。